北村正裕BLOG

【北村正裕のナンセンスダイアリー】童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 執筆情報用ホームページ(童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋) http://masahirokitamura.my.coocan.jp/ と、音楽情報用HP(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 ツイッターアカウントは「@masahirokitamra」です。

パリ・オペラ座/ヌレエフ版「白鳥の湖」DVD

2005年12月20日にパリ、バスティーユオペラ劇場で、オデット=ルテステュ、王子=マルティネズというキャストでライブ収録されたヌレエフ版「白鳥の湖」の舞台映像のリージョンフリーのDVDが、先月、英国Opus Arteより発売され、今月からは、日本でも、アイヴィ(ナクソスレーベルの輸入代理店)により輸入・販売されています。輸入品なので、価格は、店によって違うし、変動もすると思いますが、僕は、昨日、秋葉原の石丸電気のソフト3の店頭で、税込4280円で購入しました。字幕はフランス語ですが、メニュー画面のsubtitle項目の操作で、字幕の一部については英訳も表示できるようになっています。この、アイヴィが輸入・販売しているものには、紙一枚の「日本語解説書」なるものも添付されていますが、これには、重大な間違いがあるので、注意が必要です。もっとも重大な一点に絞って、ここで指摘させていただきます。
「日本語解説書」では、第2幕冒頭部分の解説として、「家庭教師から弓を渡された王子は、狩に出かける」とありますが、これは、パリのヌレエフ版の設定とは決定的に違っています。1895年のプティパ・イワノフ版をはじめとして、今日のほとんどの「白鳥の湖」では、たしかに、王子は森に狩に出かけるのですが、パリのヌレエフ版(初演1984年)では、森の湖やオデットたちは、すべて、王子の幻想であるという設定になっていて、それが、この演出の最大の特徴になっているのです。実際、この演出では、第1幕から第2幕への舞台転換のさい、通常の演出と違って、王子は、城から走り出したりせず、城の中で弓を持って横たわると、突然、背後の壁が、扉が開くように消失して、そこに、忽然と、絵画のような湖の風景が現れるという演出になっています。僕は、1990年5月4日にパリ・オペラ座(ガルニエ宮)で、オデット=プラテール、王子=ジュドというキャストでの舞台を見ており、その舞台と、その時に入手したプログラムをもとにした、この演出についての解説、批評、ウィーン版との比較などは、著書「オデット姫のジークフリート王子のほんとうの物語」(1990年、私家版)の中に書きましたので、詳しいことは、そちらを参照していただければさいわいですが(入手方法については、HPをご参照ください)、オデットが王子の夢想の産物であることは、椅子にすわってまどろむ王子の背後にオデットが登場するプロローグですでに示唆されており、プログラムには、第2幕のストーリーの冒頭で「思索に没頭するする王子は、頭に小さな冠を載せた、純白の、一羽の白鳥の娘が現れるのを見る」とあります。ついでに言えば、現れたのは「白鳥の娘」(une femme-cygne)であって、夜になって人間の姿になるという記述もなく、実際、第2幕でのオデットのマイムでも、「悪魔によって白鳥にされてしまった」「この湖は、私の母の涙でできた」という表現はあっても、夜の間だけ人間に戻るというこを示す動作らしきものは見あたりません。今回のDVDの映像のプロローグ部分で出てくる字幕では、フランス語、英語ともに「夢の中で、王子は、猛禽に脅かされた娘を見る」という正しい内容になっており、こちらは問題ありませんが、アイヴィが添付した「日本語解説書」は上記の通り、間違っています。なお、同解説書には、「作品データ」として、「原作=ムゼーウスの童話『奪われたヴェール』」とありますが、これは「「白鳥の湖」のストーリーの元になった作品のひとつといわれているもので、この作品のあらすじなどは、上記「オデット姫のジークフリート王子のほんとうの物語」の97?98ページに書いてあります。また、国書刊行会から2003年に発行された鈴木滿訳「リューベツァールの物語?ドイツ人の民話」に全訳が収録されています。
なお、このプロダクションは、昨年4月のパリ・オペラ座日本公演で、東京文化会館で披露されており、ご覧になった方が多いと思いますが、僕も、4月23日の、オデット=ルテステュ、王子=ルリッシュというキャストによる公演を見ました。そのさいに販売されたNBSによる日本語プログラムの内容は、おおむね妥当なものだと思います。
ところで、このプロダクションには、チャイコフスキーの音楽が表現する破滅の美、そして、第2幕のマイム、また、原曲27番の美しい「白鳥たちの踊り」など、現在のマリインスキー・バレエや新国立劇場では削除されてしまっているプティパ・イワノフ版「白鳥の湖」の本来の美しさの重要な要素が、しっかりととらえられており、僕は、貴重な映像だと思いますし、待望のDVDだと言ってよいと思います。

今回のDVDの情報は、Opus Arteのサイトの
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=182
に掲載されていますが、
「Yuki's Web Page」
http://eucharis.main.jp/
に、発売前から、ゆうさんが、情報記事
http://eucharis.main.jp/past/2006/12/10-195906.php
をお書きになっています。近々、レビューも掲載されるのではないでしょうか。
また「Pour passer le temps」というブログの
http://blogs.yahoo.co.jp/pourpasseletemps/44830899.html
には、早くも、感想記事が出ています。

〔HP内のバレエ・オペラコーナー〕
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm

日本テレワークの捏造番組問題と「トリビアの泉」の問題放送

昨年8月に、HPに「ピーター・パン」についてのエッセイ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/peterpan.htm
を掲載したさい、ネット上で「ネバーランドの子どもたちが大人にならないのは成長した子どもをピーターが殺しているからだ」という趣旨の記述が氾濫しており、それは、「あるテレビ番組がきっかけとなっていたよう」だとも書き、当ブログにも関連記事
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/23
を掲載しましたが、検索していただいた方にはすでにおわかりになっている通り、その番組というのは、2004年10月27日放送のフジテレビの「トリビアの泉」です。僕自身は、その番組を見ていないのですが、ネットで集められる情報を見る限り、放送内容に問題があったのではないかと考えています。単なるひとつの解釈を提示したというのではなく、原文を「編集」して、結果として、全く別の意味の文章を「ねつ造」していると言ってもよいくらい問題ある内容だったのではないかと疑っています。
具体的に説明しましょう。以下、ここでは、訳文は、高杉一郎訳「ピーター・パン」(講談社文庫、1984年)からの引用です。
まず、1911年版の「ピーター・パンとウェンディ」の第11章で、両親のいる家が恋しくなったウェンディたちが家に帰ることになった場面に、次のような記述があります。

 でも、もちろん、ピーターはひどくかなしかったのです。例によって、なにもかもめちゃくちゃにしてしまったおとなたちのことを、かんかんになっておこりました。
 そこで、ピーターは、じぶんの木の中にもぐりこむとすぐに、わざと、一秒間におよそ五つのわりあいで、みじかくてはやい息をしました。なぜ、そんなことをしたかというと、ネバーランドでは、だれかが息をつくたびに、おとながひとり死ぬといういいつたえがあったからです。そこでピーターは、ふくしゅうのために、できるだけはやく、おとなたちを殺してやろうと思ったのです。
(以上、前掲書P.207)

この、いわば地団駄を踏むピーターを描写した部分のうち、上記番組では、「ふくしゅうのために、できるだけはやく、おとなたちを殺してやろうと思ったのです」という部分(原文= Peter was killing them off vindictively as fast as possible)を抜き出して、

第5章の
「子どもたちが大きくなりそうだと、これは規則違反なので、ピーターに間引かれてしまいます」(高杉訳p.97、原文=when they seem to be growing up, which is against the rules, Peter thins them out )という部分につなげて「紹介」し、結果として、「間引く」(thin out)という言葉が殺害を意味しているという印象を視聴者に強く与えるような放送をしたようなのです。しかも、第11章の該当部分の"killing"が、一部のみを抜き出したために、あたかも本当の殺人行為であるかのような「紹介」になっているようです。

この放送内容を、僕は、
「greggman.com」というサイトのブログの
http://greggman.com/edit/editheadlines/2004-10-27.htmに記されている情報などから推測しているのですが、この放送が、多くの視聴者に誤解を与えている様子は、例えば、
「Weekly Web Waveデイリー版」というブログの
http://blogs.dion.ne.jp/temple/archives/176130.html
や、「++徒然日記++」というブログの
http://trickycat.exblog.jp/726970
など、ネット上の多くの情報が示唆しています。
僕自身は、上記の自分のHPで、「間引く」はネバーランドからの追放を意味していると解釈するのが自然だろうという意見を書いていますが、問題の番組は、原文を改編して「紹介」することで、そうした解釈のはいりこむ余地を排除しているようで、問題だと思うのですが、いかがでしょうか?
「ピーター・パンとウェンディ」の邦訳は、今では、石井桃子訳が福音館文庫から出ていますので、興味をお持ちの方は参照されるとよいと思います。また、原文は、Oxford University Press から出版されている"Peter Pan in Kensington Gardens ・ Peter and Wendy"に「ケンジントン公園のピーター・パン」とともに収録されていて、これは簡単に入手できますので、照合されるとよいと思います。

ところで、「TERAINFORMATION」というブログの
http://terainfo.seesaa.net/article/32282153.htmlなどの情報によると、
この「トリビアの泉」という番組の制作には、「発掘!あるある大事典?」という番組での捏造問題で話題になっている日本テレワークがかかわっているようです。「あるある大事典」の方も、僕は、見たことがないのですが、捏造報道が問題となり、フジテレビも含めて、反省すべき機会となっている中で、依然として、この「トリアビの泉」の放送が問題視されないのは不思議なのですが、いかがでしょう?テレビ局は、このような過去の放送も見直して、反省すべきは反省してもらいたいものです。問題があるのは、健康番組だけではないし、また、関西テレビだけの問題でもないと思います。
「Never Stop! 」というブログの
http://camella.blog.ocn.ne.jp/neverstop/2007/01/post_6ffc.html
には、「まだあるでしょ?」という記事タイトルのもと、「この際だから洗いざらいやっちゃって下さいな」とありますが、健康番組に限らず、点検、反省にはいい機会のはずだと思います。
また、上記「ピーターパン」問題に関しては、「トリビアの泉」が発信した間違った情報が、インターネット上で異常に増殖しているということを指摘しておかなければいけません。この記事で上に紹介したブログサイトの記事は、「トリビアの泉」という情報源を明示しているので、この点では、紹介の仕方としては不当ではないのですが、以前、この種の記事が、匿名で、情報源も記さず、定説であるかのような表現で掲載されているサイトを見かけたこともあり、こうなると、問題は深刻です。情報源の明示は、ネット上での情報伝達では非常に重要ですので、例えば、当ブログの読者の方が、僕のこの記事の内容を、ほかのブログなどで紹介していただける場合には、「『北村正裕のナンセンスダイアリー』の2007年2月1日の記事によれば……」という具合に、必ず情報源を明記してください。また、当記事へのトラックバック送信のさいには、送信元のサイトから当記事へのリンクをお願いします。

URLが変更になりました

当ブログサイトのURLが
http://blog.drecom.jp/masahirokitamura/
から
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/
に変更になりました。ただし、旧URLからでもアクセスは可能です。
今後もよろしくお願いします。

エヴァンゲリオン謎解き・解釈本『エヴァンゲリオン解読』入手方法について

『エヴァンゲリオン解読-そして夢の続き-』(北村正裕著、三一書房、2001年刊、税込定価=1,600円)の入手方法については、HP内の「『エヴァンゲリオン解読』入手方法」のページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva-k.htm
に掲載しており、今後も、随時、更新していく予定です。

この本は、今年(2006年)夏ごろに、一時、版元品切れ状態になっていたため、その後、秋に5度目の重版(6刷)が出たにもかかわらず、一部のネット書店では、「絶版」表示になっていて、注文受付を停止しているようですが、実際には、2006年12月の現時点では絶版ではなく、一般書店で注文可能です。また、これとは別に、初版本の著者直販分にも、まだ、若干の在庫があります。詳しくは、上記HPの最新情報をご覧ください。

なお、2006年12月上旬現在、ネット書店でも、
紀伊国屋書店http://bookweb.kinokuniya.co.jp/
楽天ブックスhttp://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/
などでは、注文受付を再開しているようです。

〔当ブログサイト内の関連記事〕
http://blog.drecom.jp/masahirokitamura/archive/22

〔HP内の新世紀エヴァンゲリオンコーナー〕
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva.htm

【06/12/07追記】
「新・『心の補完委員会』」というブログの
http://blog.so-net.ne.jp/EVA-AT/2006-04-06
「Elleの遺跡」というブログの
http://reflation.bblog.jp/entry/222106/
などに『エヴァンゲリオン解読』についてのコメントがあります。

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」牧阿佐美新演出版関係記事

HPのバレエ・オペラコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm
に、先月11月19日の新国立劇場の牧阿佐美芸術監督による新演出の「白鳥の湖」の観劇レポートを掲載しましたが、すでに、今回の公演については、色々なブログに感想記事が出ているようです。
例えば、「バレエに行こう」というブログの
http://goballet.seesaa.net/article/28113024.html
には、同じ19日の公演の感想が書かれています。
また、「ミキん家」というブログの
http://mikinchi.cocolog-nifty.com/ballet/2006/11/post_1200.html
には、初日の12日の感想が書かれています。

ところで、上記HPに掲載したレポートで、91年のキーロフバレエ(現マリインスキーバレエ)日本公演のときのメモに基づいて、98年の新国立劇場での上演との差違に触れたり、グランアダージョの冒頭の編曲についても言及しましたが、その後のマリインスキー劇場ではどうなっているのでしょうか?
僕は、今月のマリインスキーバレエの来日公演を見に行く予定はないのですが、ご覧になる方は、その辺にも注目されるとおもしろいかもしれません。それから、今月16日未明、午前00:30?04:20のBS2の番組「クラシックロイヤルシート」で、今年6月にマリインスキー劇場で収録された「白鳥の湖」の映像が放映されるそうで、こちらは、僕も、録画しておく予定です。この映像の舞台は、今年1月に東京文化会館でワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」4部作の白熱の演奏を聴かせてくれた指揮者ゲルギエフの指揮によるものなので、その演奏にも注目です。

【06/12/07追記】
〔新国立劇場「白鳥の湖」関連ブログ記事(追加)〕
「背表紙ふぇちの独白」の
http://plaza.rakuten.co.jp/ayafk/diary/200611190000/
「藤田一樹の観劇レポート」の
http://white.ap.teacup.com/kazudon/441.html
「劇場の天使」の
http://blog.so-net.ne.jp/theater-angel/2006-11-18
「la dolce vita」の
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2006/11/111_2f3f.html

〔マリインスキーバレエ名古屋公演関係記事〕
「気まぐれ日記」の
http://blog.pivoine.daa.jp/?eid=608800
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: