北村正裕BLOG

【北村正裕のナンセンスダイアリー】童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 執筆情報用ホームページ(童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋) http://masahirokitamura.my.coocan.jp/ と、音楽情報用HP(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 ツイッターアカウントは「@masahirokitamra」です。

安房直子/作、味戸ケイコ/絵『夢の果て』(瑞雲舎刊)について

かつて、雑誌「詩とメルヘン」に味戸ケイコさんの絵とともに掲載された安房直子さんの創作メルヘン17編が、『夢の果て』というタイトルで、瑞雲舎から刊行されました(2005年12月発行)。以前、HPのプロムナードコーナーにも書きましたが、ぼくが、童話を書くきかっけになったのは、安房さんの「夏の夢」という作品との出会いであり、それを収録した本『だれにも見えないベランダ』(講談社文庫)を見つけたのは、たしか、1982年の秋ごろだったと思います。この本には、「ほたる」という作品もはいっていて、それも、とても魅力的な作品だと思っていましたが、今回、この「ほたる」が、久々に、単行本に収録されました。
雑誌「詩とメルヘン」で、現在、僕の手元に残っているのは4冊だけでしたが、そのうちの2冊に安房さんの作品が掲載されています。ひとつは、「ふしぎな文房具屋」が掲載された1982年12月号、もうひとつは、「月の光」が掲載された1984年7月号です。どちらも、僕が、安房さんの作品をむさぼるように読んでいたころに発行されたもので、この2作は、どちらも、現世的価値だけに執着していたら見られないような世界、生と死の世界のつながりを見せてくれるような、非常に魅力的な作品です。「月の光」は、しばらく、読んでいなかったようで、こんな魅力的な作品の存在を、不覚にも忘れていました。しかし、思いがけず、自分が、安房さんのファンであることの証を発見したような気分にもなりました。というのは、僕が、1988年に執筆し、1990年に私家版童話集『オデット姫とジークフリート王子のほんとうの物語』に収録した短編「思い出の街」が、明らかに、安房さんの「月の光」の影響を受けた作品だと思えたからです。安房さんの作品では、死を前にした病気の少女が病室から出るのは、ほとんどラストシーンであるのに対して、僕の作品では、病室を出るところから物語りが始まる、といった違いはありますが、「月の光」という作品名などは忘れてしまっていても、心の底に、この作品の印象が残っていたのは間違いないと思います。現在HPに掲載している僕の作品などは、少なくとも、表面上は、安房さんの作品とは、全く、似ていないと思いますが、この「思い出の街」だけは、僕が安房さんのファンである証になるように思いました。
なお、今回「月の光」につけられた絵は、「詩とメルヘン」掲載時とは全く別の絵で、味戸さんが新たに描かれたもののようです。「ふしぎな文房具屋」のほうは、今回の4つの絵のうち、後半2つは「詩とメルヘン」の絵と同じで、前半2つの絵は新作のようです。
収録作品は、ほたる/夢の果て/声の森/秋の風鈴/カーネーションの声/ひぐれのひまわり/青い貝/天窓のある家/奥様の耳飾り/誰にも見えないベランダ/木の葉の魚/花の家/ある雪の夜のはなし/小鳥とばら/ふしぎな文房具屋/月の光/星のおはじき、以上、17編です。
「詩のメルヘン」という雑誌は、少なくとも、これらの作品を世に送り出したということだけでも、大変価値のある雑誌だったのだと思いました。

〔HPのプロムナードコーナー内の「安房直子童話集について」のページ〕
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/awa.htm

Kバレエカンパニーの「くるみ割り人形」(熊川哲也版)

先日(12月15日)、東京文化会館でのKバレエカンパニーの「くるみ割り人形」(熊川哲也版)の公演を見てきました。制作者たちの熱意が感じられる舞台であると感じる一方、疑問に感じる点も多々ありました。感想は、HPのバレエ・オペラコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm
に掲載しました。

僕は、11月のオーチャードホールでの公演は見ていないのですが、
藤本真由さんのブログの
http://blog.eplus.co.jp/daisy/2005-11-17
や、
「放蕩主婦」さんの「勝手にチェック」というブログの
http://check-check.seesaa.net/article/9348709.html
などに、11月の公演の感想記事があります。
ただ、いずれにも、オーケストラについてのコメントはありません。
12月15日の公演のオーケストラについては、その存在感のある演奏について、僕は、HPで、「特筆に値する」と書きましたが、11月の公演ではどうだったのかはわかりません。また、12月15日の演奏についても、もちろん、聴く人によって、評価は様々でしょう。

納得できないガウダシンスキー版オペラ「ファウスト」

たった今、オーチャードホールで、レニングラード国立歌劇場によるガウダシンスキー版のオペラ「ファウスト」(グノー作曲)を見てきました。あまりに大胆な演出に、あ然、呆然でした。本来のラストシーンである牢獄のシーンと、その直前におかれるべきワルプルギスのバレエシーンの演奏順が入れ替わり、牢獄でマルガレーテが絶命すると、救済の合唱もなく、ワルプルギスシーンへ移行。そのラストで現れるマルガレーテの亡霊を見たファウストが、「彼女に会いたい。何としても行くぞ!」と叫んで倒れるところで全編の幕となるという結末になっていました。文学的には、たしかに、この方が、ずっと、感動的と言えるかもしれませんが、グノーの音楽は、こう演奏するようには出来ていないと思います。牢獄で、狂乱状態のマルガレーテが「主よ、私をお導きください」と歌い出すところは、間違いなく、ラストシーンへ向かう最高のクライマックスであり、最後の救済の音楽へ、まっしぐらに進んでもらわないと、納得できません。今回、その救済の合唱が、完全に削除されてしまい、自分としては、不完全燃焼です。こんな「ファウスト」、納得出来ません。明日、HPの「雑記帳」のページに、もう少し詳しく書こうと思いますが、とりあえず、寝る前に、一言、アップロードさせていただく次第です。

日生劇場オペラ「夕鶴」関係記事

先日(11月23日)、HPの「雑記帳」のページ
(「バレエ・オペラ雑記帳」のページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/ballet.htm
にも同時掲載)
に、臼木あいさん主演による日生劇場でのオペラ「夕鶴」公演の感想記事を書きましたが、臼木あいさんのブログの11月24日の記事
http://yaplog.jp/aiusuki/archive/41
に、ご本人の感想が掲載されていますので、ご紹介いたします。

絵本『やまのかいしゃ』(スズキコージ/作、片山健/絵、架空社刊)について

僕は、童話の創作活動をしている関係で、挿絵というものには、当然、関心はありますが、絵本についての知識はほとんど持っていないのが現状です。しかし、架空社から1991年に出た『やまのかいしゃ』という絵本(スズキコージ=作、片山健=絵)の存在を昨年になって知り、そのユニークさに感銘を受けました。そして、このようなナンセンス絵本を出している出版社の存在そのものにも感銘を受けました。
http://blog.drecom.jp/masahirokitamura/archive/13に書いた、先日の架空社の社長さんとの絵本の出版を視野に入れた話し合いの機会も、このことが、ひとつのきっかけでした。

さて、その『やまのかいしゃ』の物語ですが、
いかにも落ちこぼれ社員風といった感じのほげたさんが、ある日、出勤のために電車に乗ると、なぜか、電車は、会社とは反対の山の方へ向かっていきます。おまけに、かばんとめがねも忘れてきたことに気づきます。終点の山奥の駅で降りたほげたさんは、「きょうは、やまのかいしゃへいこう」と勝手に決めて、山道を登って行き、途中で、ほいさくんとも合流して、ふたりで、山の頂上にたどり着きます。そこが「やまのかいしゃ」だと決めたふたりは、「むせんでんわ」で、「まちのかいしゃ」に電話までかけ、まちの社員たちも、一度は、「やまのかいしゃ」へやってきますが、やがて、ふたりを残してまちに帰っていきます。そして、「いまでも、ほげたさんと、ほいさくんは、やまのちょうじょうで、げんきにやっています」と結ばれます。
ラストのページの絵は、星空を背景にした、山の上のふたりのシルエットですが、こうなると、単に、会社をクビになったというより、天国行きという雰囲気さえ感じられます。そういえば、白い衣装の社長さんは、なにやら、神様風です。そして、"天国"から見れば、「まちのかいしゃ」のあくせくとした営みのなんとむなしいことか!もしかして、そんな世界が普通に見えてしまうめがねを忘れたことで、ほげたさんには、やっと、本当の自分の生活が見えたのかもしれませんね。あるいは、神様風の社長さんに連れられてまちに戻って行った社員たちの方が天国行きなのでしょうか?
車窓から見える、遠ざかる町の風景も、よく見ると、ビルの上に、大きなさるのような怪獣(?)がしがみついていたりして、異様です。電車のつり広告には、「ススキーノ・コジ氏の大予言」と書かれたものもあるといった、お遊びもあります。
この絵本は、1991年に出たものですが、文章の初出は、"母の友"(福音館書店)1986年9月号とのことなので、「むせんんでんわ」なんて、斬新ですね。余談ですが、その「ダイヤルをまわす」という表現とのギャップも、今読むと時代を感じます。ところが、絵の方は、どう見てもプッシュ式です。
とにかく、インパクトのある絵本です。

なお、最近のブログ記事のうち、『やまのかいしゃ』に関する記述があるものには、
banbiblogさんの「バンビの独り言」というブログの
http://blog.goo.ne.jp/banbiblog/e/26618fe9f2ef7ab170c7eca1e336c55a

だまさんの「シネマトカピクニック」というブログの
http://picnicine.no-blog.jp/tips/2005/07/post_ef21.html
があります。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: