北村正裕BLOG

【北村正裕のナンセンスダイアリー】童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 執筆情報用ホームページ(童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋) http://masahirokitamura.my.coocan.jp/ と、音楽情報用HP(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

2007年02月

新世紀エヴァンゲリオン原作社GAINAXのサイトにも新劇場版公開日情報登場

先日、2月17日に、Yahoo! JAPAN-エヴァンゲリオン特集-のページなどで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」9月1日公開という情報が出ましたが、ようやく、
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」原典版の企画制作会社であるGAINAX公式サイトにも情報が出てきました。
まず、同社サイト内にある「庵野秀明公式Webサイト」
http://www.gainax.co.jp/hills/anno/index.html
では、数日前から、Yahoo! などの関連ページへのリンクが貼られています。その中のひとつ「Yahoo! メルマガ?ヱヴァンゲリヲン新劇場版だより」
http://merumaga.yahoo.co.jp/Backnumber/5923/53470/p/1
にある記事によると、スタジオカラーは、「去年の秋に誕生」したとのこと。また、「カラー」とは、ギリシャ語の「歓喜」の意とのことと解説されています。
一方、GAINAX制作本部の武田統括本部長のブログの昨年9月21日の記事
http://gainax.weblogs.jp/takeda/2006/09/post_9901.html
の中に、「夕方、庵野君の新事務所の事務所開きで某所へ」という記載があり、この新事務所というのが、スタジオカラーのことのようです。
また、通販最新情報ブログの昨日2月23日の記事
http://gainax.weblogs.jp/staff/2007/02/91_7886.html
にも、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」9月1日公開という情報が出ました。
「EVANGELION.CO.JP」
http://www.evangelion.co.jp/
は、以前は、キングレコードのDVDなどの情報ページでしたが、先日のリニューアルで、完全に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公式サイト」または「エヴァンゲリオン公式サイト」と呼ばれるようになっていますが、ここの管理は、どこの会社がやっているのでしょう?そもそも「EVA製作委員会」を構成する会社のリストも掲載されていないので、そのあたりのことは、依然、よくわかりません。

僕のHPの中のリンクページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/link.htm
には、「新世紀エヴァンゲリオン」関連の公式サイトのほか、いくつかのいわゆる謎解きサイト、考察サイトなどの個人サイトなどへのリンクもあります。
また、以前、当ブログの
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/11
の記事にも書きましたが、HP内の新世紀エヴァンゲリオンコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva.htm
には、「エヴァンゲリオン解読」(三一書房、2001年)出版以前に書いたいくつかの古いエッセイも、引き続き掲載しています。これらは、当然、オリジナル版の「新世紀エヴァンゲリオン」(95?99年版)についてのエッセイです。いずれ、97年の映画は「旧劇場版」と呼ばれるようになるのでしょうか?

オリジナル版(95?99年版)のファンとしては、キングレコードのDVD情報が「エヴァンゲリオン公式ページ」から消えてしまったりと、「新劇場版」一色になっていることには、やや複雑な気持ちもあるのですが、「新劇場版」を機に、オリジナル版も見てみようという新しいアニメファンが増えるならいいことでしょう。
なお、上記公式ページから消えた2003年版DVDの情報などは、現在、キングレコードのスターチャイルドレーベルのサイト内の「新世紀エヴァンゲリオン」のページ
http://www.starchild.co.jp/special/evangelion/index.html
に掲載されています。
また、2003年版DVDと99年版DVDの違いなどについては、当ブログ内の
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/21
や、HP内の「エヴァンゲリオンの基礎知識」のページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva-g.htm
をご参照いただければさいわいです。

キングレコードのエヴァンゲリオンページが新作映画j情報解説にリニューアル

これまでキングレコードから発売されていたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」2003年リマスター版DVDの情報などを掲載していた公式ページ
http://www.evangelion.co.jp/
が、本日、全面リニューアルされ、新作映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」関連情報を中心としたページに変わりました。そして、リンク先の、Yahoo! JAPAN-エヴァンゲリオン特集-のページ
http://eva.yahoo.co.jp/gekijou/index.html
には、庵野総監督の「所信表明文」が掲載されました。
この「所信表明文」の中には、「エヴァはもう古いとも感じます。しかし、この12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした」とありますが、たしかに、僕が出会ったアニメの中では、「エヴァンゲリオン」以上に新鮮な驚きをともなった感動を与えてくれたアニメはなかったと思います。そして、1997年夏の完結編「THE END OF EVANGELION」以上のアニメ作品が今後生まれるような気はとてもしないというのが正直な感想なのですが、それでも、庵野総監督が言う「エヴァンゲリオンを知らない人たちが触れやすいよう、劇場用映画として面白さを凝縮し、世界観を再構築し、誰もが楽しめるエンターテインメント映画を目指します」という姿勢には、それなりにエールを送りたいと思います。というのは、95年にテレビアニメとしてスタートし、97年に劇場版で完結し、99年に修正されたDVDが全巻完結したいわばオリジナル版(95?99年版)は、発表の形の変則さもさることながら、気軽に楽しめるアニメとは言い難く、様々な誤解も生まれて、食わず嫌いの状態になっている人も多いと思うので、今回、企画が発表された「新劇場版」がそれへの入り口としての役割を果たすことになれば、あの「エヴァンゲリオン」が、もっと多くの人たちに感動を与えることになるだろうと思えるからです。そんなわけで、「新劇場版」そのものが、旧世紀版(95?99年版)と比べて平凡なものに終わってしまったとしても(そうなるような予感もしているのですが)、無意味な試みではないと思います。かつては「エヴァだけで終わるという事態は避けたい」というような発言をしていた庵野監督の姿勢の変化を歓迎しない人もいるでしょうが、数多くの作品を作ることだけがアニメ作家の仕事ではないでしょう。希有の傑作を、より多くの人に見てもらおうとする試みは、決して、非難されることではないと思います。というわけで、僕も、是非、「新劇場版」4部作、見てみたいと思っています。2001年に三一書房から出版した「エヴァンゲリオン解読」に書いたように、僕は、「THE END OF EVANGELION」を映画館に12回も見に行ってしまいましたが、今度は、4部作、一度ずつと、とりあえず考えています。
さて、上記Yahoo! JAPANのページでは、「新劇場版特報映像」というものが見られますが、ここでは、「新しい登場人物、新しいエヴァ、異なる結末」という文言が並んでおり、タイトルの表記を変えたことと合わせて、オリジナル版とは別の作品であるということを強く示唆しているように思いますが、これは、上記のように、オリジナル版以上のものはできないだろうと予想している自分としては、歓迎です。あくまでも、新しいアニメファンのためのオリジナル版(旧世紀版)への入り口だと考えるべきでしょう。そう割り切って見ないと、オリジナル版のファンとしては、失望するような気もするので、このことは、心にとめておきたいと思っています。そして、キングレコードには、95?99年版作品のDVDの生産を中止したりすることのないようにお願いしたいと思います。
なお、上記「所信表明文」は、一部の映画館にポスターとして張り出されたようで、「まんたんウェブ」の
http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/2007/02/91_1.html
に情報が出ており、この記事は、「アニメ声優ニュース」の
http://animenews.blog4.fc2.com/blog-entry-1553.html
にも掲載されています。
また、「アニメ!アニメ!」のニュースの
http://animeanime.jp/news/archives/2007/02/91217.html
にも関連記事が出ています。
先日のスポニチの記事では、本日のポスター情報に「緊急声明文」という言葉が使われていましたが、実際には「原作/総監督 庵野秀明 2006 09/28」という日付なので、「緊急声明」というよりは、かなり前から準備されていたあいさつ文と言った方がよさそうに思います。それから、「制作/スタジオカラー」「製作/カラー」とありますが、「制作」と「製作」、「スタジオカラー」と「カラー」とは、それぞれ、どう違うのでしょう?いずれも、庵野総監督自らが設立したスタジオ、制作会社らしいですが、会社がふたつあるのか、スタジオ名と会社名を使い分けるのか、そのあたりは、今のところ、僕にはわかりません。

〔当ブログ内の関連記事〕
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/30
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/26
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/24
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/21
など

〔HPの新世紀エヴァンゲリオンコーナー〕
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva.htm

スポニチが「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」最新情報掲載

Sponichi Annexの昨日(2月12日)の記事
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2007/02/12/02.html
によると、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の新作映画のタイトルは
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」、第1作は9月1日公開とのこと。昨年9月にGAINAXが発表した「2007年初夏」という予定から見ると、やや遅れたことになりますね。
キングレコードのDVD情報などを掲載している「新世紀エヴァンゲリオン」公式サイトの
http://evangelion.co.jp/theater.html
には、昨年9月に、「エヴァンゲリオン新劇場版」(07?08年公開予定の新作映画"REBUILD OF EVANGELION")の情報が掲載され、総監督=庵野秀明、アニメーション制作=カラースタジオ、配給=クロックワークス、メディア・スーツといった情報のほか、
2007年初夏=前編 REBUILD OF EVANGELION:01
2008年陽春=中編 REBUILD OF EVANGELION:02
2008年初夏=後編+完結編 REBUILD OF EVANGELION:03、04
という公開予定も掲載され、その後、「『赤い月、赤い海。』2007年、エヴァンゲリオン復活。」という謎めいたコピーも掲載されました。
しかし、その後、具体的な公式発表がなかったようですが、上記記事によれば、庵野秀明総監督が17日に全国の劇場で「緊急声明」を発表するとのことで、「庵野監督の声明文は、全国約50館の劇場にポスターとして掲出される。黒地に白文字だけの斬新なデザインで、『疲弊しつつある日本のアニメーションを未来へとつなげたい』と主張」とされています。
昨年12月に、eiga.comの文化通信ニュース
http://www.eiga.com/bunkatsushin/061226/20.shtml
に掲載された情報でも、「第1弾が07年9月公開」という見出しになっていましたが、映画館にポスターが出れば、はっきりするでしょう。
また、eiga.comの文化通信ニュースでは、
「アニメーション制作:スタジオカラー」
「今回の製作にあたって新たにスタジオを設立」
といった記述もありますが、「カラースタジオ」なのか「スタジオカラー」なのか、また、企画・原作者たるGAINAXとの関係はどうなっているのかなどの詳しい情報はみつかりません。
この「カラー」という制作スタジオについては、
ハイムさんの「PROJECT REI」というブログの昨年8月の記事
http://ayanami-rei.org/archives/2006/08/2006-08-04-000356.php
で、「憶測」と断った上で、言及されていますが、今のところ、ネット上では、これ以上の情報は見つかりません。
上記Sponichi Annexの記事によれば、「ポータルサイト『yahoo!』に特設ページが設けられ、特集が17日からスタート」とのことなので、より詳しい情報が出てくるかもしれませんね。

ところで、先月、HPの新世紀エヴァンゲリオンコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva.htm
の中の、「エヴァンゲリオンの基礎知識」のページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/eva-g.htm
をリニューアルして、「新劇場版と旧世紀版の基礎知識(予備知識)」というサブタイトルも付けましたが、こちらも、追って、再更新することになると思います。


〔当ブログ内の関連記事〕
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/24
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/20など

【07/02/15追記】
ハイムさんが「PROJECT REI」の
http://ayanami-rei.org/archives/2007/02/2007-02-15-000458.php
で指摘されているように、GAINAXの公式ページには、まだ、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」公開日の情報が出ていませんが、やはり、公式発表は2月17日以降ということなのでしょう。
なお、昨年9月9日のGAINAX公式ページでの発表内容は、現在、同サイトの
http://www.gainax.co.jp/company/news/0027.html
に掲載されています。

パリ・オペラ座/ヌレエフ版「白鳥の湖」DVD

2005年12月20日にパリ、バスティーユオペラ劇場で、オデット=ルテステュ、王子=マルティネズというキャストでライブ収録されたヌレエフ版「白鳥の湖」の舞台映像のリージョンフリーのDVDが、先月、英国Opus Arteより発売され、今月からは、日本でも、アイヴィ(ナクソスレーベルの輸入代理店)により輸入・販売されています。輸入品なので、価格は、店によって違うし、変動もすると思いますが、僕は、昨日、秋葉原の石丸電気のソフト3の店頭で、税込4280円で購入しました。字幕はフランス語ですが、メニュー画面のsubtitle項目の操作で、字幕の一部については英訳も表示できるようになっています。この、アイヴィが輸入・販売しているものには、紙一枚の「日本語解説書」なるものも添付されていますが、これには、重大な間違いがあるので、注意が必要です。もっとも重大な一点に絞って、ここで指摘させていただきます。
「日本語解説書」では、第2幕冒頭部分の解説として、「家庭教師から弓を渡された王子は、狩に出かける」とありますが、これは、パリのヌレエフ版の設定とは決定的に違っています。1895年のプティパ・イワノフ版をはじめとして、今日のほとんどの「白鳥の湖」では、たしかに、王子は森に狩に出かけるのですが、パリのヌレエフ版(初演1984年)では、森の湖やオデットたちは、すべて、王子の幻想であるという設定になっていて、それが、この演出の最大の特徴になっているのです。実際、この演出では、第1幕から第2幕への舞台転換のさい、通常の演出と違って、王子は、城から走り出したりせず、城の中で弓を持って横たわると、突然、背後の壁が、扉が開くように消失して、そこに、忽然と、絵画のような湖の風景が現れるという演出になっています。僕は、1990年5月4日にパリ・オペラ座(ガルニエ宮)で、オデット=プラテール、王子=ジュドというキャストでの舞台を見ており、その舞台と、その時に入手したプログラムをもとにした、この演出についての解説、批評、ウィーン版との比較などは、著書「オデット姫のジークフリート王子のほんとうの物語」(1990年、私家版)の中に書きましたので、詳しいことは、そちらを参照していただければさいわいですが(入手方法については、HPをご参照ください)、オデットが王子の夢想の産物であることは、椅子にすわってまどろむ王子の背後にオデットが登場するプロローグですでに示唆されており、プログラムには、第2幕のストーリーの冒頭で「思索に没頭するする王子は、頭に小さな冠を載せた、純白の、一羽の白鳥の娘が現れるのを見る」とあります。ついでに言えば、現れたのは「白鳥の娘」(une femme-cygne)であって、夜になって人間の姿になるという記述もなく、実際、第2幕でのオデットのマイムでも、「悪魔によって白鳥にされてしまった」「この湖は、私の母の涙でできた」という表現はあっても、夜の間だけ人間に戻るというこを示す動作らしきものは見あたりません。今回のDVDの映像のプロローグ部分で出てくる字幕では、フランス語、英語ともに「夢の中で、王子は、猛禽に脅かされた娘を見る」という正しい内容になっており、こちらは問題ありませんが、アイヴィが添付した「日本語解説書」は上記の通り、間違っています。なお、同解説書には、「作品データ」として、「原作=ムゼーウスの童話『奪われたヴェール』」とありますが、これは「「白鳥の湖」のストーリーの元になった作品のひとつといわれているもので、この作品のあらすじなどは、上記「オデット姫のジークフリート王子のほんとうの物語」の97?98ページに書いてあります。また、国書刊行会から2003年に発行された鈴木滿訳「リューベツァールの物語?ドイツ人の民話」に全訳が収録されています。
なお、このプロダクションは、昨年4月のパリ・オペラ座日本公演で、東京文化会館で披露されており、ご覧になった方が多いと思いますが、僕も、4月23日の、オデット=ルテステュ、王子=ルリッシュというキャストによる公演を見ました。そのさいに販売されたNBSによる日本語プログラムの内容は、おおむね妥当なものだと思います。
ところで、このプロダクションには、チャイコフスキーの音楽が表現する破滅の美、そして、第2幕のマイム、また、原曲27番の美しい「白鳥たちの踊り」など、現在のマリインスキー・バレエや新国立劇場では削除されてしまっているプティパ・イワノフ版「白鳥の湖」の本来の美しさの重要な要素が、しっかりととらえられており、僕は、貴重な映像だと思いますし、待望のDVDだと言ってよいと思います。

今回のDVDの情報は、Opus Arteのサイトの
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=182
に掲載されていますが、
「Yuki's Web Page」
http://eucharis.main.jp/
に、発売前から、ゆうさんが、情報記事
http://eucharis.main.jp/past/2006/12/10-195906.php
をお書きになっています。近々、レビューも掲載されるのではないでしょうか。
また「Pour passer le temps」というブログの
http://blogs.yahoo.co.jp/pourpasseletemps/44830899.html
には、早くも、感想記事が出ています。

〔HP内のバレエ・オペラコーナー〕
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm

日本テレワークの捏造番組問題と「トリビアの泉」の問題放送

昨年8月に、HPに「ピーター・パン」についてのエッセイ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/peterpan.htm
を掲載したさい、ネット上で「ネバーランドの子どもたちが大人にならないのは成長した子どもをピーターが殺しているからだ」という趣旨の記述が氾濫しており、それは、「あるテレビ番組がきっかけとなっていたよう」だとも書き、当ブログにも関連記事
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/23
を掲載しましたが、検索していただいた方にはすでにおわかりになっている通り、その番組というのは、2004年10月27日放送のフジテレビの「トリビアの泉」です。僕自身は、その番組を見ていないのですが、ネットで集められる情報を見る限り、放送内容に問題があったのではないかと考えています。単なるひとつの解釈を提示したというのではなく、原文を「編集」して、結果として、全く別の意味の文章を「ねつ造」していると言ってもよいくらい問題ある内容だったのではないかと疑っています。
具体的に説明しましょう。以下、ここでは、訳文は、高杉一郎訳「ピーター・パン」(講談社文庫、1984年)からの引用です。
まず、1911年版の「ピーター・パンとウェンディ」の第11章で、両親のいる家が恋しくなったウェンディたちが家に帰ることになった場面に、次のような記述があります。

 でも、もちろん、ピーターはひどくかなしかったのです。例によって、なにもかもめちゃくちゃにしてしまったおとなたちのことを、かんかんになっておこりました。
 そこで、ピーターは、じぶんの木の中にもぐりこむとすぐに、わざと、一秒間におよそ五つのわりあいで、みじかくてはやい息をしました。なぜ、そんなことをしたかというと、ネバーランドでは、だれかが息をつくたびに、おとながひとり死ぬといういいつたえがあったからです。そこでピーターは、ふくしゅうのために、できるだけはやく、おとなたちを殺してやろうと思ったのです。
(以上、前掲書P.207)

この、いわば地団駄を踏むピーターを描写した部分のうち、上記番組では、「ふくしゅうのために、できるだけはやく、おとなたちを殺してやろうと思ったのです」という部分(原文= Peter was killing them off vindictively as fast as possible)を抜き出して、

第5章の
「子どもたちが大きくなりそうだと、これは規則違反なので、ピーターに間引かれてしまいます」(高杉訳p.97、原文=when they seem to be growing up, which is against the rules, Peter thins them out )という部分につなげて「紹介」し、結果として、「間引く」(thin out)という言葉が殺害を意味しているという印象を視聴者に強く与えるような放送をしたようなのです。しかも、第11章の該当部分の"killing"が、一部のみを抜き出したために、あたかも本当の殺人行為であるかのような「紹介」になっているようです。

この放送内容を、僕は、
「greggman.com」というサイトのブログの
http://greggman.com/edit/editheadlines/2004-10-27.htmに記されている情報などから推測しているのですが、この放送が、多くの視聴者に誤解を与えている様子は、例えば、
「Weekly Web Waveデイリー版」というブログの
http://blogs.dion.ne.jp/temple/archives/176130.html
や、「++徒然日記++」というブログの
http://trickycat.exblog.jp/726970
など、ネット上の多くの情報が示唆しています。
僕自身は、上記の自分のHPで、「間引く」はネバーランドからの追放を意味していると解釈するのが自然だろうという意見を書いていますが、問題の番組は、原文を改編して「紹介」することで、そうした解釈のはいりこむ余地を排除しているようで、問題だと思うのですが、いかがでしょうか?
「ピーター・パンとウェンディ」の邦訳は、今では、石井桃子訳が福音館文庫から出ていますので、興味をお持ちの方は参照されるとよいと思います。また、原文は、Oxford University Press から出版されている"Peter Pan in Kensington Gardens ・ Peter and Wendy"に「ケンジントン公園のピーター・パン」とともに収録されていて、これは簡単に入手できますので、照合されるとよいと思います。

ところで、「TERAINFORMATION」というブログの
http://terainfo.seesaa.net/article/32282153.htmlなどの情報によると、
この「トリビアの泉」という番組の制作には、「発掘!あるある大事典?」という番組での捏造問題で話題になっている日本テレワークがかかわっているようです。「あるある大事典」の方も、僕は、見たことがないのですが、捏造報道が問題となり、フジテレビも含めて、反省すべき機会となっている中で、依然として、この「トリアビの泉」の放送が問題視されないのは不思議なのですが、いかがでしょう?テレビ局は、このような過去の放送も見直して、反省すべきは反省してもらいたいものです。問題があるのは、健康番組だけではないし、また、関西テレビだけの問題でもないと思います。
「Never Stop! 」というブログの
http://camella.blog.ocn.ne.jp/neverstop/2007/01/post_6ffc.html
には、「まだあるでしょ?」という記事タイトルのもと、「この際だから洗いざらいやっちゃって下さいな」とありますが、健康番組に限らず、点検、反省にはいい機会のはずだと思います。
また、上記「ピーターパン」問題に関しては、「トリビアの泉」が発信した間違った情報が、インターネット上で異常に増殖しているということを指摘しておかなければいけません。この記事で上に紹介したブログサイトの記事は、「トリビアの泉」という情報源を明示しているので、この点では、紹介の仕方としては不当ではないのですが、以前、この種の記事が、匿名で、情報源も記さず、定説であるかのような表現で掲載されているサイトを見かけたこともあり、こうなると、問題は深刻です。情報源の明示は、ネット上での情報伝達では非常に重要ですので、例えば、当ブログの読者の方が、僕のこの記事の内容を、ほかのブログなどで紹介していただける場合には、「『北村正裕のナンセンスダイアリー』の2007年2月1日の記事によれば……」という具合に、必ず情報源を明記してください。また、当記事へのトラックバック送信のさいには、送信元のサイトから当記事へのリンクをお願いします。
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