指揮者のレヴァインが体調不良で来日できなくなってしまったメトロポリタン・オペラの『ラ・ボエーム』は、代役指揮者のファビオ・ルイジのゆったりとしたテンポの丁寧で抒情的な演奏などで、期待以上の素晴らしい舞台だったと思います。僕が見たのは6月11日(土)と19日(日)の公演ですが、歌手では、ミミ役のフリットリのやわらかい美声が、昨年のトリノ王立歌劇場日本公演の『ボエーム』のきと同様に圧巻。また、ムゼッタ役のフィリップス、マルチェルロ役のグヴィエチェン、ロドルフォ役のベチャワ(11日)、アルバレス(19日)と、主要メンバーがみな好調で、さすがメトという感じでした。今回は、原発事故の影響を懸念する歌手たちが何人も出演を取りやめたために、当初の予定とは、かなりキャストが変わり、フリットリは当初の予定では他の演目に出る予定からの変更でしたし、アルバレスなどは、直前に来日が決まったようですが、これまた昨年のトリノ王立歌劇場日本公演の『ボエーム』のときと同様に、フリットリとの名コンビで、美声を披露してくれました。
最終日の19日夜の公演終了後のカーテンコールでは、再び幕が開いた後、フリットリたちが、プロンプターボックスからプロンプターを舞台に引っ張り上げてしまうなど、達成感を発散させるカーテンコールでした。
なお、ネット上の一部で、拍手のフライングについて話題になっているようですが、今回、11日の公演では、第3幕開幕時に、「拍手は音が完全にとまってからお願いします」というアナウンスがありました。その効果もあってか、後半は、フライングの拍手はありませんでした。ルイジのような丁寧な演奏をじっくりきいていると、この曲が、細部にいたるまで、ほんとうに、よく精密に作られていることに、あらためて気付かされます。

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