歴史的な傑作と言ってもよさそうなアニメ映画「劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編〕叛逆の物語」(新房昭之総監督、虚淵玄脚本)。常識的な日常に戻らないストーリー、そして、「異空間設計」として参加しているアニメ制作ユニット、劇団イヌカレーによる幻想的な映像が素晴らしいと思います。
先日、14日に劇場で配布されたという「魔女図鑑」は入手できなかったのですが、ネット上に出ている情報によれば、パンフレットに載っていない解説も結構載っていたようですね。パンフレットでは「ほむら魔女」としか書かれていなかったほむらの魔女には、「ホムリリー」という名がついていて、「くるみ割りの魔女」という解説が載っているそうですね。
そう言えば、終盤でおもちゃのような兵隊(くるみ割りの魔女の手下でロッテというらしい)の行進の場面は、バレエ「くるみ割り人形」イワーノフ版第1幕でのおもちゃの兵隊とねずみたちとの戦いのシーンでのおもちゃの兵隊の行進を連想させます。
このバレエの原作にあたるホフマンの「くるみ割り人形」は、主人公のマリー(イワーノフ版のバレエでのクララに相当)が、いわゆる「現実」世界を捨てて、「人形の国」へ行ってしまい、「マリーはいまでも、あのきらめくクリスマスの森や、すきとおったマジパンのお城のある国で、王妃さまとしてくらしているということです」(山本定祐訳)という結末を持つ物語で、「夢」より「現実」を重んじるいわゆる大人の発想に対する叛逆とも言える物語なので、今回の「叛逆の物語」の映像作りのヒントにするにはふさわしい作品だと言えるかもしれません。
ところが、現在、多くのバレエ団では、このホフマンの原作意図を無視して、あたかも「すべては夢でした」というように思わせる夢落ち演出で上演していて、それは、とても残念なことだと思います。
イワノフ版のプティパによる台本では、ラストシーンについての具体的な記述がないので、ここは、演出家の腕の見せ所だと思うのですが。ワイノーネンによる夢落ち演出以来、それが主流になってしまったのは残念なことだと思います。
そんな中、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の1985年の舞台の映像を見ると、これは、比較的、イワノフの原典版に近く、さらに、原作の要素を取り込もうという工夫がされているようなので、この映像のDVDは、オススメです。
このDVDについては、以前、2006年2月の記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/51606136.html
に書いてあります。
なお、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の「くるみ割り人形」の映像は、複数あって、ほかの映像もそれなりに価値あるものですが、1985年収録のものとは大きい違いがあるので、ご注意を。
また、ホームページの中に「くるみ割り人形の基礎知識」というページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/nutcracker-g.htm
がありますので、ご参照ください。
ところで、ホフマンの原作では主人公の名はマリーですが、そのマリーが両親からもらう人形の名がクララなのです。今回の映画「叛逆の物語」では、上記の「魔女図鑑」の情報によると、「偽街」の子供達の名が「クララドール」だそうですが、クララという名が原作では人形の名であったことも、制作者の方は意識されているのかもしないなあ、と思いました。
「叛逆の物語」の映像とバレエ「くるみ割り人形」との関係については、「魔女図鑑」配布の前から指摘されているファンの方が何人もいらっしゃったようですね。
「くるみ割り人形」は、ホフマンの原作も、そしてチャイコフスキーのバレエ音楽もとても好きで、しばしば公演見に行っていますが、自分の創作の中にも影響を与えているのを自覚しています。
例えば、今年1月に電子出版した童話『何もない遊園地』
http://www.amazon.co.jp/dp/B00B6FTH6Q/
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/yuuenti-e.htm
は、1996年に執筆したものなのですが、これの第8話の中で木馬のミオが人間の少女の姿に変身するシーンを書いたときには、バレエ「くるみ割り人形」第1幕で、くるみ割り人形が王子の姿に変身するシーンを意識していました。
〔「くるみ割りの魔女」に関する情報があるネット上のページの例〕
流行の最南端
http://trend-of-southenmost.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15-1
赤いふうせん
http://palloncinorosso.blog45.fc2.com/blog-entry-233.html
なんでも(ダリルの墓のブログ)
http://kuuki141414.blog46.fc2.com/blog-entry-149.html
遊佐さんブログ
http://ameblo.jp/yusayusa0211/entry-11729059349.html
まど☆マギブログ
http://matomagi.doorblog.jp/archives/34967391.html
〔北村正裕のツイッターの「まどかマギカ」関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/403109727086727168
など
【2014. 1. 5追記】
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」では、「異空間設定」として参加しているアニメ制作ユニット、劇団イヌカレーが担当する魔女の結界シーンなどに独自の魔女文字(「まどか文字」とも言われているもの)が登場しますが、海外のファンによって解読された結果をまとめたという一覧表(魔女文字とローマ字との対照表)が、
http://wiki.puella-magi.net/Deciphering_the_runes#Table_of_runes
に載っています。
現在、多くの「まどかマギカ」ファンが、この対照表(魔女文字解読一覧表)を参照しているものと思われます。
(2014. 1. 5追記)
先日、14日に劇場で配布されたという「魔女図鑑」は入手できなかったのですが、ネット上に出ている情報によれば、パンフレットに載っていない解説も結構載っていたようですね。パンフレットでは「ほむら魔女」としか書かれていなかったほむらの魔女には、「ホムリリー」という名がついていて、「くるみ割りの魔女」という解説が載っているそうですね。
そう言えば、終盤でおもちゃのような兵隊(くるみ割りの魔女の手下でロッテというらしい)の行進の場面は、バレエ「くるみ割り人形」イワーノフ版第1幕でのおもちゃの兵隊とねずみたちとの戦いのシーンでのおもちゃの兵隊の行進を連想させます。
このバレエの原作にあたるホフマンの「くるみ割り人形」は、主人公のマリー(イワーノフ版のバレエでのクララに相当)が、いわゆる「現実」世界を捨てて、「人形の国」へ行ってしまい、「マリーはいまでも、あのきらめくクリスマスの森や、すきとおったマジパンのお城のある国で、王妃さまとしてくらしているということです」(山本定祐訳)という結末を持つ物語で、「夢」より「現実」を重んじるいわゆる大人の発想に対する叛逆とも言える物語なので、今回の「叛逆の物語」の映像作りのヒントにするにはふさわしい作品だと言えるかもしれません。
ところが、現在、多くのバレエ団では、このホフマンの原作意図を無視して、あたかも「すべては夢でした」というように思わせる夢落ち演出で上演していて、それは、とても残念なことだと思います。
イワノフ版のプティパによる台本では、ラストシーンについての具体的な記述がないので、ここは、演出家の腕の見せ所だと思うのですが。ワイノーネンによる夢落ち演出以来、それが主流になってしまったのは残念なことだと思います。
そんな中、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の1985年の舞台の映像を見ると、これは、比較的、イワノフの原典版に近く、さらに、原作の要素を取り込もうという工夫がされているようなので、この映像のDVDは、オススメです。
このDVDについては、以前、2006年2月の記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/51606136.html
に書いてあります。
なお、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の「くるみ割り人形」の映像は、複数あって、ほかの映像もそれなりに価値あるものですが、1985年収録のものとは大きい違いがあるので、ご注意を。
また、ホームページの中に「くるみ割り人形の基礎知識」というページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/nutcracker-g.htm
がありますので、ご参照ください。
ところで、ホフマンの原作では主人公の名はマリーですが、そのマリーが両親からもらう人形の名がクララなのです。今回の映画「叛逆の物語」では、上記の「魔女図鑑」の情報によると、「偽街」の子供達の名が「クララドール」だそうですが、クララという名が原作では人形の名であったことも、制作者の方は意識されているのかもしないなあ、と思いました。
「叛逆の物語」の映像とバレエ「くるみ割り人形」との関係については、「魔女図鑑」配布の前から指摘されているファンの方が何人もいらっしゃったようですね。
「くるみ割り人形」は、ホフマンの原作も、そしてチャイコフスキーのバレエ音楽もとても好きで、しばしば公演見に行っていますが、自分の創作の中にも影響を与えているのを自覚しています。
例えば、今年1月に電子出版した童話『何もない遊園地』
http://www.amazon.co.jp/dp/B00B6FTH6Q/
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/yuuenti-e.htm
は、1996年に執筆したものなのですが、これの第8話の中で木馬のミオが人間の少女の姿に変身するシーンを書いたときには、バレエ「くるみ割り人形」第1幕で、くるみ割り人形が王子の姿に変身するシーンを意識していました。
〔「くるみ割りの魔女」に関する情報があるネット上のページの例〕
流行の最南端
http://trend-of-southenmost.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15-1
赤いふうせん
http://palloncinorosso.blog45.fc2.com/blog-entry-233.html
なんでも(ダリルの墓のブログ)
http://kuuki141414.blog46.fc2.com/blog-entry-149.html
遊佐さんブログ
http://ameblo.jp/yusayusa0211/entry-11729059349.html
まど☆マギブログ
http://matomagi.doorblog.jp/archives/34967391.html
〔北村正裕のツイッターの「まどかマギカ」関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/403109727086727168
など
【2014. 1. 5追記】
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」では、「異空間設定」として参加しているアニメ制作ユニット、劇団イヌカレーが担当する魔女の結界シーンなどに独自の魔女文字(「まどか文字」とも言われているもの)が登場しますが、海外のファンによって解読された結果をまとめたという一覧表(魔女文字とローマ字との対照表)が、
http://wiki.puella-magi.net/Deciphering_the_runes#Table_of_runes
に載っています。
現在、多くの「まどかマギカ」ファンが、この対照表(魔女文字解読一覧表)を参照しているものと思われます。
(2014. 1. 5追記)