北村正裕BLOG

【北村正裕のナンセンスダイアリー】童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 執筆情報用ホームページ(童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋) http://masahirokitamura.my.coocan.jp/ と、音楽情報用HP(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

2016年09月

『シンゴジラ』より『エヴァンゲリオン』

映画『シン・ゴジラ』、人気ありますね。
先月下旬、ライブハウスに出演したときには、楽屋で『シン・ゴジラ』について熱く語るミュージシャンがいたり、それに呼応して「ゴジラが夢に出た」と言っていたミュージシャンもいました。このお二人は、いずれも女性シンガーソングライターの方でしたが、他にも、色々なところで、『シン・ゴジラ』が話題になっています。
ネットでもこの映画を取り上げた記事がちらほら。
黒嵜想(くろさきそう)さんのnote
「ゴジラは沈黙する。」
https://note.mu/kurosoo/n/n6c3d79f5bb9e
も、そうしたネットでの批評のひとつですが、この批評の中のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」批評について触れた部分について、ツイッターで半木糺さんが疑問を投げかけるツイートをしていて、9月18日の一連のツイートの中のひとつ
https://twitter.com/tadasunakaragi/status/777499215182213120
の中に、
「『エヴァ』批評に関しては2001年に出版された北村正裕『エヴァンゲリオン解読―そして夢の続き』が今に至るまで一番形を成した批評であると私は思っている」
と、あり、
「おおっ!」と、感心してしまいました。
さすが!読むべきものをしっかりお読みになっていますね。
著者として、ありがたいと思います。
この『エヴァンゲリオン解読』は、2001年に三一書房から初版本が出た後、重版を繰り返し、2007年には改訂を加えて「新版」が発行され、2010年には静山社から文庫版(「完本 エヴァンゲリオン解読」)が出て、2015年8月に、その文庫版が重版となったさいに、さらに加筆改訂が加えられ、「文庫版第2版」が出ています。改訂のたびに、新しい「あとがき」を追加しているので、これから購入される方には、「文庫版第2版」をおすすめします。これには、それまでの版の「あとがき」もすべて収録されています。例えば、アマゾンでは、重版出来前に、一度、品切れになっているので、今、アマゾンで静山社文庫版の『完本 エヴァンゲリオン解読』を注文すれば、「文庫版第2版」が入手できるはずです。中古品は、ほとんどが、改訂前の古いものだと思うのでご注意を。

ところで、『シン・ゴジラ』が『エヴァンゲリオン』と比較されるのは、監督が、同じ庵野秀明さんなので、当然のことでしょうし、僕も、庵野さんの作品ということで、先月、映画館で見てきました。しかし、僕の場合は、断然、『新世紀エヴァンゲリオン』ですね!しかも、僕が気に入っている部分は、『新世紀エヴァンゲリオン』の中でも、『シン・ゴジラ』と似ていない部分と言えそうです。例えば、使徒との戦闘シーン等には、あまり興味はないのです。
『エヴァンゲリオン解読―そして夢の続き』にも書いたことですが、「エヴァ」で特に気に入っているシーンというと、例えば、夕日に照らされた列車のシーンとか、劇場版「DEATH」の中でパッヘルベルのカノンをバックに現れる無人の教室のシーンなどです。そして、劇場版完結編の「まごころを、君に」の中でバッハの「主よ、人の望みのよろこびよ」がインストゥルメンタルで流れる中で始まるシンジとレイのほとんど支離滅裂な対話(これ、褒め言葉ですよ!)、さらに、カヲルも加わっての心の対話とバックの音楽などなど。戦闘シーン等とは全く違うところに魅力を感じます。
『エヴァンゲリオン解読―そして夢の続き』は、ひとりのファンの立場で、作品の中にはいって、その世界を考えるというスタンスで書かれています。それ故、新聞や雑誌などに書かれる評論家の方々による、「エヴァ」を高い視点から見下ろすような批評とは一線を画すものになっていると思います。そして、あくまでも、97年の映画で完結し、99年にDVDも出そろった『新世紀エヴァンゲリオン』の解釈論です。わざわざ、そうことわるのは、時々、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズと『新世紀エヴァンゲリオン』を混同しているような記述を見かけることがあるからです。もちろん、「新劇場版」は、『新世紀エヴァンゲリオン』という土台の上に作られた、いわば、「もうひとつのエヴァ」であって、『新世紀エヴァンゲリオン』と関係はあるわけですが、上記の黒嵜さんのnoteに『新世紀エヴァンゲリオン』について書かれている「『新劇場版』として作り直されている」という表現には疑問を感じます。「作り直されている」のではなく、あくまで、「新作」が作られていると言うべきだろうと思います。ついでに言えば、「新劇場版」のタイトルには「新世紀」の三文字はついていません。『新世紀エヴァンゲリオン』と言ったら、それは、97年の映画で完結し、99年にDVDも出そろったあの歴史的作品のことです。先日、そのテレビシリーズのNHKBSプレミアムでの放送が始まった、あの作品です。テレビシリーズの後、回想的劇場版「DEATH」、劇場版完結編「Air/まごころを、君に」は放送されるのかどうか、それはわかりません。

〔HPのエヴァンゲリオンコーナー〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/eva.htm

〔HPの中の「エヴァンゲリオン解読」出版情報のページ〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/eva-kaidoku.htm

〔関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/776736525534896128

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『完本 エヴァンゲリオン解読』文庫版第2版の裏面(クリックで拡大可)

『ジャンプ』とコミックス200巻で違う『こち亀』のラスト

40周年を機に連載終了となり、雑誌『週刊少年ジャンプ』16年10月3日号に最終話が掲載され、最終話を含む単行本コミックスの第200巻ともに9月17日発売となった秋本治さんの漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(通称=こち亀)。
最終話は、「ジャンプ」掲載のものと、単行本掲載のものとでラストが違っていました。
先に、単行本のKindle版
https://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B01KJGD54C/
を購入して最終話を読んでいたところ、作品の中で主人公の両さんが、「『少年ジャンプ』と『コミックス200巻』では『オチ』が違っています」「両方買ってもらういやらしい商法です」と言っているではありませんか!
というわけで、急遽、近所のコンビニに出かけて『少年ジャンプ』も購入。
作品の中での行われる「復活希望キャラクター」の第1位が違うではありませんか!そして、ラストは大違い。『少年ジャンプ』のほうは、キャラクターと作者からのご挨拶のような終わり方になっているのに対して、コミックス200巻収録のものは、最後にもうひと騒動。コミックス200巻収録作品のほうは、かつてアニメでなじんだいつもの「こち亀」風のドタバタで、「終わってしまったと」いう感じではないですね。まだ読んでいない方は、両方読むといいと思いますよ。
僕は、漫画はほとんど読まないのですが、「こち亀」は、かつて亀有に住んでいたころにアニメ化されてテレビで放送されていたものを見ていて、気に入っていました。無茶苦茶なナンセンスがいいですね。というより、やはり、僕の場合は、かなり長く亀有に住んでいたので、親しみを感じてしまいます。

kamearikitagutikoban98
98年ごろの亀有駅北口(奥に見えるは亀有駅北口交番、クリックで拡大可)

NHKBSで「新世紀エヴァンゲリオン」放送開始

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」テレビシリーズ全26話が、本日、9月16日(金)から、毎週金曜夜に、NHKBSプレミアムでHDリマスター版で放送されます。
95年10月からテレビ東京で半年間放送されたテレビアニメ。その後、劇場版「Air/まごころを、君に」で97年に完結した「新世紀エヴァンゲリオン」については、僕も、2001年に解釈本「エヴァンゲリオン解読」(三一書房)を出版し、今では、文庫版「完本 エヴァンゲリオン解読」(静山社文庫)が出ていて、自分の文筆活動の幅を広げてくれたアニメでもあります。
昨年、ブルーレイボックスが発売され、僕は、それを購入しましたが、未購入の方には、今回のNHKBSプレミアムでの放送、おすすめです。

〔HPのエヴァンゲリオンコーナー〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/eva.htm

〔関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/650504496120881152

〔NHKアニメのぺージ〕
http://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=eva

〔NHKPRのページ〕
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=07386&f=prtw

〔エヴァ公式情報のページ〕
http://www.eva-info.jp/2033

NHKドラマ『戦艦武蔵』に絵本『はなのすきなうし』が登場

9月3日にNHK総合テレビで放送されたドラマ『戦艦武蔵』に、絵本『はなのすきなうし』(マンロー・リーフ作)が登場してびっくり!
「NHKスペシャル」のひとつとしての放送でしたが、先に、BSプレミアムで放送されたものを再編集したもののようです。
この絵本『はなのすきなうし』、こどものころ、今は亡き母が買ってくれた絵本のひとつで、僕よりも母が気に入っていた本なのです。あるとき、他の本をどこかに寄贈したときにも、この本だけは、母の独断で残していたくらいです。
ドラマ『戦艦武蔵』の中では、戦死直前の兵士が、この絵本の原書"The Story of Ferdinand"について語り、闘牛を目指す牛たちに対する「しかし、フェルジナンドは違った(But not Ferdinand)」が繰り返し語られていました。
少し前、このブログの7月の記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52398364.html
で紹介したように、今年の7月に、エッセイ『歌う童話作家のC型肝炎闘病二十年』
https://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B01IJTYWYI/
をKindle版で電子出版し、その中で、C型肝炎で亡くなった母に関連して、母から聞いた山の手空襲の体験談を書いたばかりだったこともあり、この絵本への母の思いが、もしかしたら、母の戦争体験と関係があるのではないかと、はじめて感じました。もちろん、この本は、いわゆる反戦文学というものとは違うように思います。むしろ、マイペースへの愛を感じさせるものですが、平和への希求の心も、その延長上にあるように感じました。
実は、僕が、こどものころに母が買ってくれた絵本の中で、僕の一番のお気に入りは、『はなのすきなうし』ではなく、『こねこのぴっち』(ハンス・フィッシャー作)でした。この『こねこのぴっち』も、他のこねこたちと一緒に元気に遊べないちょっと内気なこねのが主人公という点で、少し、『はなのすきなうし』と似ているかもしれません。しかし、ぴっちが風邪をひいて寝込んでしまったときに、他のこねこたちがお見舞いに来るラストシーンが、僕は大好きでした。マイペースではあっても、実は、友達は欲しい。多分、僕自身のそんな気持ちが、『こねこのぴっち』への愛着につながっていたのでしょう。その『こねこのぴっち』も、あるとき、母の独断でどこかに寄贈されてしまって、しばらく、僕の手元にはありませんでしたが、今では、その後、自分で買いなおして、今では、2008年の第49刷が手元にあります。一方、『はなのすきなうし』は、手元にはありません。多分、『はなのすきなうし』にあるメッセージ色が強さが、僕にとっては、抵抗になってしまったように思います。今でも、メッセージ色の強い作品には、僕は、抵抗を感じてしまいます。もちろん、平和は大切です。しかし、絵本や芸術には、そういうメッセージを伝えるための道具であるかのように感じられてしまうものであっては欲しくないのです。もちろん、「僕には説教くさく感じられてしまった」というだけで、この絵本は、きっと名作なのでしょう。しかし、『こねこのぴっち』のほうが、僕には、純粋な楽しみを与えてくれたのは確かなことです。どちらも、岩波書店から日本語版が出ているロングセラーです。お読みになってみてははいかがでしょう。
なお、NHKドラマ『戦艦武蔵』は、9月10日(9日深夜)0:15から再放送があるようです。

〔関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/772076370004279296
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