先日の記事
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/64
で、70年代フォークの名曲「翼をください」が、映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に使われたとこに触れ、さらに、以前、今年2月11日の記事
http://masahirokitamura.blog.drecom.jp/archive/60
で、歌詞にいくつかのヴァージョンがあることを書きましたが、最近、得た情報を考慮すると、2月の記事の中で触れたヤマハ音楽振興会主催の合歓ポピュラーフェスティバル'70で初めてこの曲が披露されたときの歌詞は、2月の記事で「ロングヴァージョン」と呼んでいたものであった可能性が高いようです。
というのは、「第1回世界歌謡祭ライブ・バージョン」ということになっている音源での歌詞がロングヴァージョンになっているようなのですが、
ヤマハ音楽振興会のサイトの「第1回東京国際歌謡音楽祭(第2回より「世界歌謡祭」に名称変更)」のページ
http://www.yamaha-mf.or.jp/history/e-history/wpsf/wpsf1.html
に掲載されている情報を見ると、第1回世界歌謡祭(東京国際歌謡音楽祭)に赤い鳥は参加していないようなので、問題の音源は、同じ70年に赤い鳥が参加して「翼をください」を初披露し「新人奨励賞」を受賞した「合歓ポピュラーフェスティバル'70」(歌謡祭の少し前)のライブ音源なのではないかと思われるからです。
こうなると、ロングヴァージョンが、もっとも古い歌詞で、いわばオリジナルということになりますので、「今富とか名誉ならばいらないけど翼がほしい」という歌詞は、レコーディングのときに削除されたということになります。
この削除された歌詞は、赤い鳥のメンバーによって、その後のライブでもしばしば歌われ、楽譜も出回っていますが、この歌詞が削除された71年レコードヴァージョンと比較すると、一長一短あると思います。ライブでは、この歌詞が引き立つことがある反面、先日公開された映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」での挿入歌のように、BGM的に使われる場合には、71年レコードヴァージョンの方が美しい感じがすることもあると思います。映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に問題の歌詞があったら、かえって、「富とか名誉」へのこだわりみたいなものが感じられて、アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、綾波レイの純粋さに似つかわしくなくなってしまったかもしれません。映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見て、「翼をください」の71年レコードヴァージョンのよさに初めて気づきました。多くのカバー演奏が71年レコードヴァージョンを採用しているのは、それが、レコードとしては最初に発表されたヴァージョンであるからでしょうが、それには、それなりのよさがあるのだと思いました。

なお、「noBlog SINSEIの自己中で行こう!」というブログの
http://sinsei.coolblog.jp/nnnoblog/index.php?UID=1247403533
の記事に関連情報が出ています。