北村正裕BLOG

【北村正裕のナンセンスダイアリー】童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 執筆情報用ホームページ(童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋) http://masahirokitamura.my.coocan.jp/ と、音楽情報用HP(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 ツイッターアカウントは「@masahirokitamra」です。

くるみ割り人形

「まどかマギカ 叛逆の物語」と「くるみ割り人形」

歴史的な傑作と言ってもよさそうなアニメ映画「劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編〕叛逆の物語」(新房昭之総監督、虚淵玄脚本)。常識的な日常に戻らないストーリー、そして、「異空間設計」として参加しているアニメ制作ユニット、劇団イヌカレーによる幻想的な映像が素晴らしいと思います。
先日、14日に劇場で配布されたという「魔女図鑑」は入手できなかったのですが、ネット上に出ている情報によれば、パンフレットに載っていない解説も結構載っていたようですね。パンフレットでは「ほむら魔女」としか書かれていなかったほむらの魔女には、「ホムリリー」という名がついていて、「くるみ割りの魔女」という解説が載っているそうですね。
そう言えば、終盤でおもちゃのような兵隊(くるみ割りの魔女の手下でロッテというらしい)の行進の場面は、バレエ「くるみ割り人形」イワーノフ版第1幕でのおもちゃの兵隊とねずみたちとの戦いのシーンでのおもちゃの兵隊の行進を連想させます。
このバレエの原作にあたるホフマンの「くるみ割り人形」は、主人公のマリー(イワーノフ版のバレエでのクララに相当)が、いわゆる「現実」世界を捨てて、「人形の国」へ行ってしまい、「マリーはいまでも、あのきらめくクリスマスの森や、すきとおったマジパンのお城のある国で、王妃さまとしてくらしているということです」(山本定祐訳)という結末を持つ物語で、「夢」より「現実」を重んじるいわゆる大人の発想に対する叛逆とも言える物語なので、今回の「叛逆の物語」の映像作りのヒントにするにはふさわしい作品だと言えるかもしれません。

ところが、現在、多くのバレエ団では、このホフマンの原作意図を無視して、あたかも「すべては夢でした」というように思わせる夢落ち演出で上演していて、それは、とても残念なことだと思います。
イワノフ版のプティパによる台本では、ラストシーンについての具体的な記述がないので、ここは、演出家の腕の見せ所だと思うのですが。ワイノーネンによる夢落ち演出以来、それが主流になってしまったのは残念なことだと思います。
そんな中、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の1985年の舞台の映像を見ると、これは、比較的、イワノフの原典版に近く、さらに、原作の要素を取り込もうという工夫がされているようなので、この映像のDVDは、オススメです。
このDVDについては、以前、2006年2月の記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/51606136.html
に書いてあります。
なお、英国ロイヤルバレエのピーター・ライト版の「くるみ割り人形」の映像は、複数あって、ほかの映像もそれなりに価値あるものですが、1985年収録のものとは大きい違いがあるので、ご注意を。
また、ホームページの中に「くるみ割り人形の基礎知識」というページ
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/nutcracker-g.htm
がありますので、ご参照ください。
ところで、ホフマンの原作では主人公の名はマリーですが、そのマリーが両親からもらう人形の名がクララなのです。今回の映画「叛逆の物語」では、上記の「魔女図鑑」の情報によると、「偽街」の子供達の名が「クララドール」だそうですが、クララという名が原作では人形の名であったことも、制作者の方は意識されているのかもしないなあ、と思いました。
「叛逆の物語」の映像とバレエ「くるみ割り人形」との関係については、「魔女図鑑」配布の前から指摘されているファンの方が何人もいらっしゃったようですね。

「くるみ割り人形」は、ホフマンの原作も、そしてチャイコフスキーのバレエ音楽もとても好きで、しばしば公演見に行っていますが、自分の創作の中にも影響を与えているのを自覚しています。
例えば、今年1月に電子出版した童話『何もない遊園地』
http://www.amazon.co.jp/dp/B00B6FTH6Q/
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/yuuenti-e.htm
は、1996年に執筆したものなのですが、これの第8話の中で木馬のミオが人間の少女の姿に変身するシーンを書いたときには、バレエ「くるみ割り人形」第1幕で、くるみ割り人形が王子の姿に変身するシーンを意識していました。


〔「くるみ割りの魔女」に関する情報があるネット上のページの例〕

流行の最南端
http://trend-of-southenmost.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15-1

赤いふうせん
http://palloncinorosso.blog45.fc2.com/blog-entry-233.html

なんでも(ダリルの墓のブログ)
http://kuuki141414.blog46.fc2.com/blog-entry-149.html

遊佐さんブログ
http://ameblo.jp/yusayusa0211/entry-11729059349.html

まど☆マギブログ
http://matomagi.doorblog.jp/archives/34967391.html


〔北村正裕のツイッターの「まどかマギカ」関連ツイート〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/403109727086727168
など


【2014. 1. 5追記】
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」では、「異空間設定」として参加しているアニメ制作ユニット、劇団イヌカレーが担当する魔女の結界シーンなどに独自の魔女文字(「まどか文字」とも言われているもの)が登場しますが、海外のファンによって解読された結果をまとめたという一覧表(魔女文字とローマ字との対照表)が、
http://wiki.puella-magi.net/Deciphering_the_runes#Table_of_runes
に載っています。
現在、多くの「まどかマギカ」ファンが、この対照表(魔女文字解読一覧表)を参照しているものと思われます。
(2014. 1. 5追記)

英国ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」のDVD

かなり昔、レンタルビデオ店で借りて見て以来、しばらく見ていなかった英国ロイヤル・バレエの「くるみ割り人形」の舞台の映像(ピーター・ライト演出、1985年収録)が、ワーナーミュージック・ジャパンからDVDとして再発売されたので、早速、購入し、久々に、部分的に見ています。
このプロダクションのいいところは、イワーノフの原典版にかなり忠実であると思われることです。たとえば、現在、多くのバレエ団が、「コクリューシ王子」を削除して、くるみ割りの王子にコクリューシ王子の役を"兼任"させているのに対して、このプロダクションでは、兼任などさせず、コクリューシ王子という独立した役が存在しています。ちなみに、これを演じるのは、アンソニー・ダウエル、また、金平糖の精を演じるのは、レスリー・コリアです。現在、コクリューシ王子という役名をきちんとプログラムに載せているバレエ団は、日本では、東京シティ・バレエ団など、ごく少数ではないでしょうか?
もうひとつ、この1985年の映像では、冒頭で、ドロッセルマイヤーが、仕事部屋で、額にはいった彼の甥の写真を眺めながらくるみ割り人形を胸に抱き、人形の正体が、呪いによって変身させられてしまったドロッセルマイヤーの甥であることを示唆し、また、第2幕の幕切れで、元の姿に戻った彼の甥、つまり、くるみ割りの王子が、現実の彼の前に現れ、額の中に写真がくるみ割り人形に変わっている、という演出がとられて、呪いが解けたことを示しています。こうしたことは、プティパの原台本には書かれておらず、特に、観客に示さなければいけないわけではないでしょうが、この演出は、ホフマンの原作の設定そのものであり、原作に矛盾しない範囲で、原台本に補足を加えようとする場合には、当然、ひとつの選択肢になるものです。以前、この映像を見たときは、わざわざ、これを舞台で示さなくてもいいのではないか、と思いましたが、最近では、原作の設定に反して、第1幕のパーティーの場で、ドロッセルマイヤーの甥が本来の姿で登場するといった、致命的とも言える演出(たとえば、NBAバレエ団による「イワーノフ復元版」)が出現しており、そんなおかしな演出をやるくらいなら、ピーター・ライトのように、原作の設定に矛盾しないようにやってほしい、という思いを強く持ったので、1985年の映像のこの演出は、むしろ、この映像のおすすめポイントのひとつだと思えるようになりました。
唯一、残念なのは、「ジゴーニュおばさんと道化たち」が削除されていることですが、これを削除せずにやっているバレエ団は、東京シティ・バレエ団や、NBAバレエ団など、これまた、現在では、少数派になってしまっているようです。

この映像ソフトは、再発売なので、すでに色々なコメントが出ていると思いますが、例えば、「Side B-allet / Yuki's Web Page」というサイトの「バレエ映像カタログ」の
http://eucharis.main.jp/dvd/archives/200411112209.php
に、ゆうさんのコメントがあり、ここには、キャスト表も掲載されています。

なお、上記の東京シティ・バレエ団や、NBAバレエ団の「くるみ」については、HPのバレエ・オペラコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm
に、観劇レポートを掲載してあります。

Kバレエカンパニーの「くるみ割り人形」(熊川哲也版)

先日(12月15日)、東京文化会館でのKバレエカンパニーの「くるみ割り人形」(熊川哲也版)の公演を見てきました。制作者たちの熱意が感じられる舞台であると感じる一方、疑問に感じる点も多々ありました。感想は、HPのバレエ・オペラコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm
に掲載しました。

僕は、11月のオーチャードホールでの公演は見ていないのですが、
藤本真由さんのブログの
http://blog.eplus.co.jp/daisy/2005-11-17
や、
「放蕩主婦」さんの「勝手にチェック」というブログの
http://check-check.seesaa.net/article/9348709.html
などに、11月の公演の感想記事があります。
ただ、いずれにも、オーケストラについてのコメントはありません。
12月15日の公演のオーケストラについては、その存在感のある演奏について、僕は、HPで、「特筆に値する」と書きましたが、11月の公演ではどうだったのかはわかりません。また、12月15日の演奏についても、もちろん、聴く人によって、評価は様々でしょう。

NBAバレエ団の公演

3月13日に、所沢ミューズでのNBAバレエ団の安達哲治版「くるみ割り人形」の公演を見てきました(14:00開演)。
ホームページのバレエ&オペラのコーナー
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/swanlake.htm
に、観劇レポートを掲載しました。演出については、そちらに詳しく書きましたが、牧阿佐美バレエ団のカーター版も、東京シティ・バレエ団の有馬五郎版も見られなくなってしまっている今、NBAバレエ団の「くるみ」は、東京近辺のバレエ・ファンにとって、貴重なプロダクションだと思いました。

このバレエ団の公演を見るのは、今回が初めてだったのですが、子役を含めて、ダンサーの質の高さも感じられ、このような優秀なバレエ団の存在を確認できたことが、僕にとっては、今回の、最大の収穫だったと思います。バレエ団のホームページを見ると、このバレエ団は、今回の安達版「くるみ」とは別に、イワーノフ原典版の復元上演をやったこともあるとのことなので、再演されることがあったら、是非、見てみたいと思います。また、それ以外でも、今後に期待が持てそうなバレエ団だと思いました。
今年1月には、ヴィハレフによる復元版「コッペリア」の上演をやったようですが、マリインスキー劇場でプティパ作品の復元を手がけているヴィハレフによる復元ということは、多分、サン=レオン版(パリ初演版)の復元ではなく、プティパ版(マリインスキー劇場版)の復元でしょう。それであれば、2003年11月に、ロシア国立ノボシビルスクバレエの日本公演で披露されたものと、基本的には同じものだったのではないかと想像しています。しかし、それでも、以前テレビ放映されたキーロフ・バレエの舞台(92年収録、ヴィノグラードフ版)は、かなり改変されたものでしたから、より原典版に近いプロダクションをレパートリーに持つことの意味は大きいと思います。

なお、央さんのブログの、
http://www.stage-door.net/blognplus/index.php?e=7
に、このNBAバレエ団による今年1月30日の「コッペリア」の公演の感想、レポート記事があります。
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