北村正裕BLOG

童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 北村正裕ホームページ(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

新国立劇場バレエ、タケット版新制作「くるみ割り人形」観劇

ウィル・タケット振付による新国立劇場新制作のバレエ「くるみ割り人形」、12月27日昼の公演を観劇しました。
この日の昼の公演では、主役のクララ/金平糖の精役に、今回が全幕作品主役デビューとなる東真帆が登場し、熱演を見せてくれました。

振付=ウィル・タケット
編曲=マーティン・イェーツ
指揮=マーティン・イェーツ
管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団
合唱=東京少年少女合唱隊
芸術監督=吉田都

出演=東真帆(クララ/金平糖の精)、奥村康祐(ドロッセルマイヤーの助手/くるみ割りの王子)、福岡雄大(ドロッセルマイヤー)/他

序曲に続き第1幕が始まると、第1曲のクリスマスツリーの曲の途中で合唱が曲のリズムに合わせるようにクリスマスキャロルを歌いだしたので驚きました。特に「くるみ割り人形」第一幕の場合、完璧な構成とも言えそうなチャイコフスキーの曲を味わうのが楽しみなので、ここのクリスマスキャロルは少々残念。また、第一幕で自分には目ざわりと感じたのはドロッセルマイヤーの助手の存在。クララとドロッセルマイヤーの助手が不意に互いの背中をぶつける「出会い」のシーンで、他のダンサー全員の動きを止めて二人の「出会い」を強調していたり、さらに決定的なのは、くるみ割りの王子とドロッセルマイヤーの助手を一人二役にしたりしているところですが、くるみ割りの王子をドロッセルマイヤーの助手のイメージに重ねようとする演出は、自分には邪魔な演出と感じました。魔法の世界は、現実から飛翔して自由であって欲しかったと思いました。
一方、第一幕の演出で良かったと思うのは、ドロッセルマイヤーのマジックショー。そして、クリスマスツリーが大きくなっていくシーンでのツリーへの点灯も、ドロッセルマイヤーの魔法で灯がどドロッセルマイヤーからクララの手を経てクリスマスツリーに飛び移るように見せていて、こうした灯の使い方が巧みで楽しめました。
ねずみ達とくるみ割り人形たちとの戦いでは、ねずみの親分は、今回の演出では「ねずみの女王」。そして、この役、今回は、序盤で「ダンス教師」として登場して子どもたちの「行進曲」などを取り仕切っていたのと同じ根岸佑衣。序盤では、この役、楽しいはずの子どもたちのダンスに介入して「邪魔だなあ」と感じていたのですが、ねずみのシーンでは、そのイメージをまとったねずみの女王がクララにスリッパで叩かれて倒されるという演出になっていました。このとき、クララはスリッパを投げるのではなく、今回は、それを手に持ってねずみの女王を叩いて倒していました。
雪のシーンは、雪の結晶の模様をそのまま使った舞台美術が、ここまでの美術に比べてぱっとしないと感じましたが、振付は地味ながら堅実。派手にならず、控え目で、かつ、舞い降る雪を表すようなダンサーの手の動きなど細かいところをおろそかにしない振付でした。ここの児童合唱シーンは全曲を通して一番美しいところで、このシーンの合唱を味わうのが、「くるみ割り人形」鑑賞の大きなポイントです。今回、東京少年少女合唱隊は、オーケストラピット左端の高い部分で歌っていて、少人数ながら比較的よく響く合唱を披露してくれました。細かい手の動きを重視しているように見える振付はここだけでなく、雪のシーンにはいる前のクララの振りにもすでに現れていたと思うし、クララ/金平糖役の東真帆がそれらをきっちりと演じていたのが良かったと思います。

第2幕が始まると、ドロッセルマイヤーがスプーンでこぐティーカップの船に乗って、クララと王子がお菓子の国に到着し、そこには、巨大なキャンディーの棒やわたあめ、ゼリーなどが飾られています。シェフパティシエとお菓子の国のマイスター等に迎えられ、王子によるクララの活躍などのマイムでの語りがある第11曲も終わり、お菓子のキャラクターによるディヴェルティスマンが始まるタイミングで、チョコレートの踊り(スペインの踊り)は削除され、ここで、耳慣れない曲が演奏されます。先日(14日)、「バレエチャンネル」のサイトに掲載されたウィル・タケットのインタビュー記事によれば、この曲は「イギリスの踊り」で、「(指揮者の)マーティン・イェーツが、チャイコフスキーが新たな踊りのために作っていた鉛筆書きのスケッチを見つけ、オーケストラ用に編曲してくれたのです」ということで、途中で序曲のメロディーが挿入されていました。そして、この曲でパティシエ達が踊るのですが、なぜ、原曲のチョコレートではだめなのか、自分にはわかりませんでした。
ここから、ようやくお菓子のキャラクター達の踊りが始まり、原曲のコーヒーの踊り(アラビアの踊り)の曲で、わたあめの踊り、紅茶の踊り(中国の踊り)の曲で、ゼリーの踊りが演じられます。上記のインタビュー記事には、「あの「中国の踊り」をそのまま踊ることは失礼だと思うし、私は中東でも仕事をしてきましたが、「アラビアの踊り」でダンサーたちがビキニスタイルの衣裳を着ているなんて絶対に通用しません」と、ありましたが、それは確かにそうだと思います。なので、今回の「わたあめ」「ゼリー」は有意義な試みだと思いました。「わたあめ」では、アラビア風の音楽に乗せて、ダンサーはわたあめに包まれたような衣装で踊り、「ゼリー」では、ゼリーカップを身にまとったダンサーも登場し、軽快さを持たせたがらも従来の「中国の踊り」のイメージは払拭されていたと感じました。この後、トレパークよりも先に葦笛の音楽が演奏され、これは「キャンディー」の踊りになっていました。振付的には、ここは葦笛が棒キャンディーに変わるだけで、葦笛がキャンディーの踊りになるのは珍しくないと思います。そして、この後、トレパークの音楽でポップコーンの踊り。そして、「花のワルツ」の音楽が「フォンダンローズ」。
「花のワルツ」の後、原曲では「花のワルツ」の前に置かれる「ジゴーニュおばさんと道化師たち」の音楽の演奏が始まりましたが、「ジゴーニュおばさん」も「道化師」も登場せず、この音楽をお菓子の国のキャラクターたちの踊りのフィナーレとして使っていて、これにより、グランパドゥドゥの後に置かれるはずの本来のフィナーレの出番を奪ってしまっていました。もともと、削除されることが多い「ジゴーニュおばさんと道化師たち」ですが、演奏するなら本来の使い方をして欲しかったと思います。
公演プログラムには、「『くるみ割り人形』のオリジナルの楽譜を見ると、チャイコフスキー自身が書き込んだ動きに関する多くの指示が記されており、私はこれらの劇作上の指針を数多く活用し、可能な限り原作の意図に近い構造を保つよう努めました」というウィル・タケットの文章が載っていますが、実際には、この「ジゴーニュおばさん」の曲の使い方など、残念ながら原曲の作曲意図に反する方向の改訂になってしまった部分の方が多いのではないかと思います。
この後の、金平糖の精となったクララと王子によるグランパドゥドゥは正統派。東真帆と奥村康祐のコンビがきっちりと踊ってくれました。今回のようにクララと金平糖の精を同じダンサーが演じるバージョンでは、この役を演じるダンサーは無邪気な子どもと気品ある女王の両方を演じなければならず重責ということになりますが、今回は、その両方を全幕作品初主演の東真帆が見事に演じていました。
グランパドゥドゥの後、アポテオーズの音楽に移る前に、魔法の時間の終わりを示すかのように鐘が鳴って第二幕冒頭の音楽が再び演奏されました。この音楽は、原曲の「フィナーレのワルツとアポテオーズ」にも組み込まれていますが、今回は、それより長く演奏され、王子はクララを連れて、再びティーカップの船に乗ってお菓子の国をあとにします。そして、場面が変わり、アポテオーズは翌朝のシーン。第一幕同様のクララの家。ドロッセルマイヤーが眠っているクララをクリスマスツリーの前に横たわらせ、舞台右手のドールハウスの中のくるみ割り人形(前夜フリッツが壊して応急処置が施されていたもの)をドロッセルマイヤーの助手が修理。目覚めたクララが直っているくるみ割り人形を見せられ、助手に感謝のハグ、というエンディングでした。

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全日程・主要キャスト(新国立劇場サイト)
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_030246.html

ウィル・タケットインラビュー(バレエチャンネル、12月14日の記事)
https://balletchannel.jp/49422

東真帆インタビュー(バレエチャンネル、12月17日の記事)
https://balletchannel.jp/49440


北村正裕ホームページ内の「『くるみ割り人形』の基礎知識」のページ
https://masahirokitamura.art.coocan.jp/nutcracker-g.htm

北村正裕X
https://x.com/masahirokitamra

オールエヴァ展を見に行ってきました

11月28日、東京シティビューに、オールエヴァ展(30周年記念展「ALL OF EVANGELION」)を見に行ってきました。
午後6時入場。エントランスに展示されたエヴァンゲリオン初号機が夜間照明でライトアップされていて、この部分だけは動画撮影もOK。
『新世紀エヴァンゲリオン』の設定資料、セル画、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の原画などの展示コーナーは動画撮影はできませんが、一部を除いて携帯電話、スマートフォンでの静止画撮影はOKとなっていました。
『新劇場版』の制作過程で作成された動画も展示されていましたが、これらは撮影NG。また、『新世紀エヴァンゲリオン』の声優さんたちのオーディションでの音声も公開されていましたが、これは録音禁止でした。その音声展示のコーナーには、『新世紀エヴァンゲリオン』第壱話の絵コンテの一部も展示されていましたが、脚本の展示はありませんでした。
オープニング映像のセル画を含め、『新世紀エヴァンゲリオン』の貴重なセル画が多数展示されていて圧巻。デジタル制作になった『新劇場版』には、当然、セル画というのは存在しませんが、こちらは、大量の原画、レイアウト画が展示され、制作過程で作成された映像も見ることができました。
原画は、大量に展示され、かなり上のほう、高いところに展示されているもののなかには近くで見ることができないものもありましたが、スマホでの静止画撮影はOKなので、手を伸ばしてスマホで撮影して、後で拡大しながら見たりということもできます。
展示されている絵が非常に多く、すべての絵を1枚1枚じっくり見るというのはとても無理なので、特にじっくり見たい場面の絵に重点をおいて見ることになり、僕の場合は、例えば、『新世紀エヴァンゲリオン』第拾八話のセル画や、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の市街地の避難民が爆風を受けるシーンでトウジがヒカリを抱きかかえるようにして守っている一瞬のシーンの絵など、トウジとヒカリの印象に残る場面の絵などに注目して見ました。これらは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』鑑賞後に、特に、振り返りたいシーンです。また、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の初号機の中の綾波レイがつばめの人形を抱いているイメージシーンの原画なども見ることができました。

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【30周年記念展「ALL OF EVANGELION」公式サイト】
https://ao-eva.exhibit.jp/

【北村正裕note記事より】
エヴァンゲリオン30周年、TVシリーズ+映画、順番に鑑賞のチャンスも
https://note.com/kitamuramasahiro/n/nf1c44bb20c9d

『新世紀エヴァンゲリオン』、零号機のコアの魂の秘密を知らなかったリツコの悲劇にも注目
https://note.com/kitamuramasahiro/n/n80b7024e7793

【北村正裕ブログ記事より】
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」第3村ミニチュアセット展示を見学
https://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52545583.html

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』第3村モデル、天浜線天竜二俣駅、夜の転車台、会議室も見学
https://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52515491.html

【北村正裕ホームページのエヴァンゲリオンコーナー】
https://masahirokitamura.art.coocan.jp/eva.htm

【北村正裕X】
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新国立劇場『ラ・ボエーム』観劇後、バックステージツアーにも参加

10月9日(木)、新国立劇場でオペラ『ラ・ボエーム』観劇。
2003年プルミエの粟國淳演出によるプロダクション、これまでに、色々な出演者による舞台を見てきましたが、今回は、ミミ役がマリーナ・コスタ=ジャクソン、ロドルフォ役がルチアーノ・ガンチ、指揮がパオロ・オルミ。
マリーナ・コスタ=ジャクソンは、アリア以外でも綺麗な声の魅力があり、第一幕の登場直後からその美声に惹かれました。やや控え目な声量で、第一幕のアリアでは、もう少しパワーも欲しいと感じるところもありましたが、美しい声質を維持しながらていねいに歌ってくれたので、第4幕でショナールが退室してから再入室するまでのロドルフォと二人になる感動的なシーンなど、たっぷり楽しめました。
ロドルフォ役のルチアーノ・ガンチ、指揮のパオロ・オルミも、ていねいな歌唱、演奏を聴かせてくれました。

そして、今回、抽選に当たって、終演後の「バックステージツアー」に参加することができ、大道具が収納されているステージ横の部分などを見学させていただき、大道具をどう動かすのかなど、劇場スタッフの方に説明していただきました。
今回は5回の公演のうち、終演後にバックステージツアーが開催されるのは10月9日の1回のみ。このように、バックステージツアーは限られた日にしか開催されず、しかも、人数制限があるため(今回は60人)、そもそもバックステージツアー開催日に観劇しないと応募もできないのは当然ですが、応募できても抽選に当たらないと参加できません。そんなわけで、今回、抽選に当たったのはかなりラッキーなことだったと思います(今回は定員60名に対して応募287名)。参加費は300円でした。舞台内部の撮影はNGですが、舞台上からの客席の撮影のみ許可され、撮影タイムまで設けられました。

1997年10月に開場記念公演のバレエ『眠れる森の美女』(オレグ・ヴィノグラードフ演出)を観劇して以来、新国立劇場では、オペラとバレエの舞台を、何十回も観劇していますが、今回のプロダクション、2003年プルミエの粟國淳演出による『ラ・ボエーム』は、観劇回数がもっとも多いものです。本公演だけでなく、「高校生のためのオペラ鑑賞教室」として上演された公演も、高校生向け販売の後の残席の一般販売でチケット入手して、しかも、ダブルキャストの両方とも観劇するなどしてきましたが、今回、また、新たなミミの『ボエーム』を鑑賞することができた上に、今回、初めて、バックステージツアーにも参加できて舞台裏の見学までできて、大きな収穫でした。

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絵の中から現れる物語-深作健太演出、東京二期会『さまよえるオランダ人』

序曲がスタート。舞台中央、幕の手前に1枚の絵。公演プログラムは開かずに観劇開始。ゼンタの夢の元になるオランダ人の絵かと思いきや、オランダ人らしき人物の絵ではなく、氷河が流氷か、とにかく荒涼とした海のような絵。紫色がかった照明で始まり、救済につながる音楽が現れると照明の色が変わり右上から希望のような光が差し込むなど、序曲での幕への照明が好ましい。序曲が終わりに近づくと、右手からゼンタらしき人物が登場して、絵を持って、ゆっくりと右手に。そのまま、右端に残りますが、序曲のラストは、オーソドックスな救済の音楽。これで一安心です。とんでもない演出ではなさそうです。
2025年9月14日、東京文化会館、深作健太演出による東京二期会『さまよえるオランダ人』3日目の公演です(上岡敏之指揮、読売日本交響楽団、中江万柚子(ゼンタ)、河野鉄平(オランダ人)、他、出演)。

序曲に続いて幕が上がると、背景の壁に、額縁にはいった巨大な絵?
さきほどの流氷のような絵。
舵手(濱松孝行)が美しい歌声を披露して眠ってしまうと、絵の中の照明(!?)が赤く変化。絵ではない!
やがて、絵(もはや絵ではないが)の中が動き、中からオランダ人が登場。手前のダーラントとの会話が始まります。
絵とか絵本から出てきたよう…という言葉がありますが、今回のオランダ人の登場は、まさに絵から出てきたかのようでした。
後で公演プログラムを見たところ、この絵は、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作『氷海』で、今回の演出にインスピレーションを与えた絵だそうです。絵には、人物が描かれていませんが、そこからオランダ人が現れるシーンを、ゼンタは夢想し、そのゼンタの夢想の通り、オランダ人が現れたということだと思います。オランダ人がダーラントに「娘をください」と言う場面で、ずっと舞台右端で見守っていたゼンタが激しく反応したりしていて、物語がゼンタの夢想の世界そのものであるとういうことも表現されています。
最後には、ゼンタがオランダ人を追って行って、救済の音楽と共に、「氷河」が動き、中央に現れた空間に、一度は海中に消えたかのように見えたゼンタとオランダ人が現れるという結末でした。台本のイメージに近く、美しい救済の音楽のイメージに合ったラストシーンでした。

今回、この演目の舞台を生で見るのは久しぶりだったのですが、音源を聴くのとは大違いで、よく響くオーケストラの音にはかなりの迫力を感じます。上岡敏之指揮、読売日本交響楽団の演奏が良かったのだと思います。今回、糸車のシーンで、驚くほどテンポが遅くなって、少々、戸惑いましたが、緊迫した船のシーンと対照的な室内の場面ということを考慮しているのかもしれません。
歌手陣では、オランダ人役、河野鉄平が、重厚かつ苦悩の色も出ていて好演だったと思います。ゼンタ役、中江万柚子の強い声は、ものすごい迫力で、狂信的とも言えるゼンタが表現されていましたが、高音が鋭すぎるように感じるところもあり、怖いくらいでした。
この演目の場合、主役級は、シビアな演技、表現が要求され、なかなか優雅に美声を披露するというわけにはいかないのかもしれません。今回は、脇役、舵手役の濱松孝行の歌声に、一番の「美声」を感じました。

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『魔法少女まどか☆マギカ』劇場版第1~第2作の再構成版放送、26年2月には新作公開

『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生-源流「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と虚構と現実の芸術論』(北村正裕著、2023年、彩流社刊)の序章には、
「『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〔新編〕叛逆の物語』のさらなる続編として『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』の制作が二〇二一年四月に発表されている」
と書いてありますが、その制作発表から四年余りが経ち、ようやく、「2026年2月公開」と発表されました(7月25日発表)。
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』は、『魔法少女まどか☆マギカ』の劇場版の第4作であり、それを鑑賞するためには、第1~第3作の鑑賞が前提になりますが、そのうち、第1作『〔前編〕始まりの物語』と第2作『〔後編〕永遠の物語』をTV放送用に再構成したTV Editionが、全11話構成で10月12日より、MBS/TBS系全国28局ネットで毎週日曜午後5時放送ということです。
2012年公開の劇場版第1~第2作をまだご覧になっていない方には『魔法少女まどか☆マギカ』鑑賞のチャンスです!
『〔前編〕始まりの物語』と『〔後編〕永遠の物語』は、2010~2011年に放送されたTVシリーズ(全12話)を映画2本分にまとめたものなので、TVシリーズ鑑賞済の方の場合は、必須というほどではありませんが、キャラクターのアクセサリーが変わっているなど、TVシリーズと完全に同じというわけではないので、TVシリーズ鑑賞済の方の場合でも、やはり、劇場版未鑑賞の方の場合は、鑑賞のチャンスです。
『始まりの物語/永遠の物語』TV Editon放送の後、劇場版第3作にあたる『叛逆の物語』も放送があるとすれば、来年2月の『ワルプルギスの廻天』鑑賞の準備に好都合ですが、その場合も、『始まりの物語/永遠の物語』またはTVシリーズを鑑賞済であることが鑑賞の前提になるので、『魔法少女まどか☆マギカ』を初めて見る人にとっては、今回の『始まりの物語/永遠の物語』TV Editon放送は、とても貴重な機会になると思います。
『魔法少女まどか☆マギカ』劇場版第1作~第3作は、BDや配信でも見られますが、得に、第3作の『叛逆の物語』は、アニメ作品の中でも傑作中の傑作だと思うので、今回の『始まりの物語/永遠の物語』TV Editon放送の機会に、『魔法少女まどか☆マギカ』未鑑賞の方には、是非、見ていただきたいと思います。

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』第1~第3作については、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生-源流「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と虚構と現実の芸術論』(北村正裕著、2023年、彩流社刊)の第三章で詳しく紹介していますが、この本は、小説『かがみの孤城』(辻村深月作)既読の人を対象にした本であり、『かがみの孤城』未読の人が読んでしまうと『かがみの孤城』のネタバレになってしまうため、この本をお読みいただく場合には、先に、小説『かがみの孤城』をお読みいただくか、映画『かがみの孤城』を鑑賞されるかしていただきたく、お願いします。『かがみの孤城』は、ファンタジー小説の傑作中の傑作であり、おすすめ中のおすすめ作品であり、『かがみの孤城』と『魔法少女まどか☆マギカ』双方を深く理解するために、両者の比較はとても意義深く思われ、それを実行しているのが、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生-源流「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と虚構と現実の芸術論』の第三章です。
この本は、『ハヤカワ ミステリマガジン』の23年7月号の書評ページで紹介されていますが、崇平何さんによる紹介文には、「後半では同作と『まどか☆マギカ』や『エヴァンゲリオン』との比較というフックがあり、興味深く読み通せた」という一文もあり、『かがみの孤城』と『魔法少女まどか☆マギカ』両作を鑑賞済の方にとっては、両作の比較は、とても興味深いことになると思います(『エヴァンゲリオン』を含めた3作の比較も同様)。

ここでは、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生-源流「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と虚構と現実の芸術論』の第三章から、『かがみの孤城』の内容に触れる記述が出てこない部分から、『魔法少女まどか☆マギカ』、特に、その劇場版第3作『叛逆の物語』の魅力について記した部分から、少しだけ引用しておきます。

「〔新編〕では、まどかのいる世界、魔獣さえいない、人々の悪夢を退治しさえすればよいという、魔法少女にとって「都合がよすぎる」世界が現れるが、ほむらはこれを「偽物」の街だと気づく。その「偽物」の街の中で、ほむらはまどかに、「私ね、とても怖い夢を見たの」と語り始め、花畑に囲まれた夜の公園で、「あなたが二度と会えないほど遠いところに行っちゃって」、「私だけがまどかのことを覚えてるたった一人の人間として取り残されて」、「寂しいのに、悲しいのに、その気持ちを誰にもわかってもらえない」、「そのうちに、まどかの思い出は、私が作り出した絵空事じゃないかって自分自身でも信じられなくなって」と泣きながら話す。この場面は、『魔法少女まどか☆マギカ』全編の中でも最も美しい場面のひとつだが、この時ほむらは、今、自分たちがいる「偽物」の世界の外の「現実」の世界の記憶を「夢」と表現している(「現実」を「夢」と呼ぶことによる現実の相対化)。そして、事情がわからないまどかは、「うん、それはとってもやな夢だね」と答えている。
やがて、ほむらは、「あなたは幻かもしれないって」、「誰かが用意した偽物かもしれないって思ってた」、「でなければ、こうして、また、会えるなんて、どう考えてもおかしいもの」、「でもわかる。あなたは、ほんとうのまどかだわ」と語り、自ら「偽物」と呼んだ世界が真実の世界だとも感じ始める(「偽物」こそが「真実」であるとすることによる現実の相対化)。」
(以上、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生-源流「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と虚構と現実の芸術論』の第三章から引用)


北村正裕ホームページの『魔法少女まどか☆マギカ』情報リンクのページ
http://masahirokitamura.art.coocan.jp/madoka-magica-l.htm

『魔法少女まどか☆マギカ』TV公式サイト
https://www.madoka-magica.com/tv/
(「始まりの物語/永遠の物語 TV Edition」放送情報)

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』公式サイトニュースページ
https://www.madoka-magica.com/wr/news/

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「劇場版魔法少女まどか☆マギカ」完全生産限定版BDパッケージ(左が前編・後編、右が新編)


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2024年10月25日、『〔新編〕叛逆の物語』リバイバル上映時の新宿バルト9


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【2025年10月18日追記】
10月8日に、note記事
「『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』、偽街の幻想的な美しさ」
https://note.com/kitamuramasahiro/n/na789653b4f67
掲載しました。
12日に放送が始まった『魔法少女まどかマギカ 始まりの物語/永遠の物語』TV Edition、第1話は、映画の終盤のシーンを取り入れた巧妙な編集がされていて、映画のスタートよりも面白くなっていました。
TVer
https://tver.jp/
での配信もされているようです。
(25.10.18追記)

【2026年1月23日追記】
「2026年2月公開」と発表されていた『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』、本日、「製作上の都合により公開時期を変更とさせていただきます」と発表されました。
「魔法少女まどか☆マギカ」公式Xの投稿
https://x.com/madoka_magica/status/2014548866650276150
「魔法少女まどか☆マギカ」公式サイトのニュースページ
https://www.madoka-magica.com/wr/news/?id=69611
(26. 1.23追記)

【2026年2月28日追記】
三度延期となっていた「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天」、昨日、「公開日が2026年8月28日(金)に決定いたしました」と、発表されました。
https://www.madoka-magica.com/wr/news/?id=69872
(26.2.28追記)

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