北村正裕BLOG

童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 北村正裕ホームページ(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

2022年02月

『かがみの孤城』アニメ映画化の発表

先日、「『かがみの孤城』は正当に評価されていない?」というブログ記事の中で、「紹介のされ方が偏っている」と書いたばかりの小説『かがみの孤城』(辻村深月作)のアニメ映画化(劇場アニメ化)が発表されました。2022年冬公開とのこと。
その公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/kagaminokojo/
に掲載された紹介文を見ると、小説の紹介文のうち、先日、「余計な一言」と書いた「生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」という部分が削除され、
「学校での居場所をなくし閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐりぬけた先にあったのは、不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる」
という部分が、少し加筆された形で掲載されていて、小説の紹介としても、このほうがよいように思います。映画の紹介文では、「こころ」という主人公の名前の前に「中学生」という一言がはいって、わかりやすくなっているのもよいと思います。
また、新たに、
「城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという―」
という一文も加わっています。

先月電子出版した『夢の中の第3村:「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と「かがみの孤城」の芸術論』(北村正裕著、Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B09PMMW9HS/
の書名の「第3村」は、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に出てくる村の名前ですが、この作品論の中身は、「エヴァンゲリオン」よりも、「かがみの孤城」についての記述のほうに多くのページを費やしていて、もし、『かがみの孤城』の鏡の城に印象的な固有名でもあればそちらを使ってもよいところだったくらいです。第二章では、『かがみの孤城』連載版から十七年版への大改作を検証して評価していますが、もともと、この紹介を書かなければということで書き始め、さらに、自分自身も立ち会うことになった日本の現実のフリースクールのスタートのころのことや、小説『かがみの孤城』とアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』との比較などを書き、その時点では、まだ、『エヴァンゲリオン』について触れることは避けるつもりでいたくらいです。というのも、『エヴァンゲリオン』シリーズは、95年に放送が始まったテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に始まり、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの完結に至るまで、非常に頂戴なアニメであり、かつては、『新世紀エヴァンゲリオン』について論じた『エヴァンゲリオン解読』(北村正裕著、2001年、三一書房)を出版しましたが、新劇場版シリーズまで論じるとなると大変なことになってしまいそうだし、そうなると、原稿を読んでくれる出版社がないかもしれないという懸念も感じたからです。それでも、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの完結編である『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年3月)を見て、『かがみの孤城』を論じるのに『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に触れないわけにはいかないと感じ、計画を変更したという経緯があります。その結果、出版社に持ち込んで企画を採用してもらうことは当面難しいと判断し、とりあえず、電子版のみ個人で出版することにしたわけです。
執筆のきっかけを考えれば、仮に、今後、紙の本としての出版もできる可能性があれば、例えば、書名は、『「かがみの孤城」、奇跡のラストの誕生」などという書名も悪くないかなあなどとも思ったりしていますが、どうでしょう? しかし、出版社への売り込みというのは、簡単ではないので、やはり、難しいかもしれません。『エヴァンゲリオン解読』(三一書房)のときは、『エヴァンゲリオン』論に興味を持っている編集者を探せばよかったわけで、それは、当時の出版物を読むことで可能だったのに対して、3作品を論じるとなると、読んでくれる人を探すのは、多分、簡単ではないでしょう。一般読者であれば、3作品のすべてを見ていなくても、『かがみの孤城』だけを読んでいるか、または、来年以降なら、その映画を見ていればそれだけでもよいわけですが、編集者の立場では、『エヴァンゲリオン』も『まどかマギカ』も全然見ていないという場合には、その部分の作品論の原稿などなかなか読む気になれないでしょうからね。
『かがみの孤城』について論じている『夢の中の第3村』の第二章~第四章が小説『かがみの孤城』の既読者のための章ということは、本の序章にも書いた通りですが、アニメ映画化された後は、小説未読でも映画鑑賞を終えた人なら読める章ということになると思います。
『かがみの孤城』のアニメ映画により、小説『かがみの孤城』の読者でこれまでアニメにはあまり興味がなかったという人で、『エヴァンゲリオン』や『まどかマギカ』というアニメにも興味持って、『夢の中の第3村』を読んでみようと思ってくれる人も出てくるかもしれませんね。是非、そうしてください。

〔『夢の中の第3村』電子出版のお知らせブログ記事〕
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52485925.html

〔ホームページ内の『夢の中の第3村』電子出版情報リンクのページ〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/villege3-l.htm


【22年11月12日追記】
22年1月に電子出版した『夢の中の第3村』の内容を再構成したものが、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』の書名で、12月に彩流社から出版されることになりました。
小説『かがみの孤城』(辻村深月作)を読み終えた方で、その奇跡のようなラストの誕生の背景について興味持たれた方には、是非、お読みいただきたいと思います。

彩流社の情報ページ
https://www.sairyusha.co.jp/book/b10025211.html

情報記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52493986.html

(22年11月12日追記)

『かがみの孤城』は正当に評価されていない?

17年に単行本が発行された小説『かがみの孤城』(辻村深月作)は、昨年3月のポプラ文庫版発行の時点で、すでに「100万部突破!」と宣伝され、さらに、今年3月にはキミノベル版も出るということですが、その紹介のされ方が偏っているように思います。
以前ツイートしたことなのですが、「生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」という宣伝文句を反復しているだけのような紹介文ばかりが目だってしまって、まだ、文学として正当に評価されていないように感じてしまいます。
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1443876814259032072

先月電子出版した『夢の中の第3村:「エヴァンゲリオン」「まどかマギカ」と「かがみの孤城」の芸術論』(Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B09PMMW9HS/
の第二章では、『かがみの孤城』連載版から十七年版への大改作を検証して評価していますが、これまで、このようなことが評価されていなかったと思います。

今回、『夢の中の第3村』で論じたようなことが、これまで語られてこなかったのには、それなりの理由があると思います。連載版を入手しようにも、今では、ほとんど入手不可能になっているということが、その理由の一つでしょう。そこで、『夢の中の第3村』第二章では、連載版について、十七年版の内容を確認しながら、ひとつひとつ連載版との違いを解説して、連載版から必要な引用もしています。
タイムファンタジーの要素など、連載開始時には全く想定されておらず、連載終了時に作者が得たアイデアと矛盾する記述が、連載版には多数見られ、これらを、最初から書き直そうという決断こそ、あの十七年版誕生の最大の原動力であるし、連載期間以上の時間をかけての大改作の作業を編集者と共同でやり通したことは評価されてよいだろうと思います。『七ひきの子やぎ』を謎解きの鍵にするというアイデアについても、十七年版には伏線として早い段階から書かれていますが、それらは、連載版になかったものです。大改訂によって何がもたらされたか、それは、とても興味深いことで、結果として、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』などとの比較にも値するスケールの大きい作品になったと言えると思います。そのことは、『夢の中の第3村』第四章などに書いてあります。
また、十七年版の『かがみの孤城』(十七年版の単行本と二十一年文庫版との違いはわずかです)は、連載版とは矛盾するその結末が命と言ってもよいくらい秀逸で、そこでの驚きの感動体験は稀有なものなので、ネット上には決定的な「ネタバレ」になってしまうような文章は載せたくないため、自分も、本一冊分のボリュームのある『夢の中の第3村』は、一定の手続きを経なけれな読めない「電子書籍」という形にしましたが、もっと短い文章でも、多くの人が、ネット上の誰でもが無料で見られるようなところにはネタバレ記事を掲載したくないと考えるなずで、結局、具体的な内容に触れることが出来ず、似たり寄ったりの紹介文ばかりが目だってしまうのかもしれません。

版元のポプラ社の公式ページ
https://www.poplar.co.jp/pr/kagami/
には、
「学校での居場所をなくし閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐりぬけた先にあったのは、不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」
という紹介文が掲載されていますが、最後の「生きづらさを感じている」というところ以外は、よく書けている紹介文だと思い、最後のいわば余計な一言が、多くの紹介文で反復されているのは残念なことだと感じています。

「生きづらさを感じているすべての人に」というところばかりが繰り返されると、まるで、そういうことを自覚している人だけのための本というように誤解されてしまうのではないかと心配してしまいます。
先日、「そのような境遇の子達にすすめてくる周囲のささやかな善意は悪意に似ています」というツイート
https://twitter.com/fQ84TYjpnRgSkTQ/status/1482564563576897536
を見つけましたが、そのようないわば違和感を感じる人がいてもおかしくないと感じるほど、これまでの『かがみの孤城』の紹介のされ方は偏っていたと思います。

偏った「おすすめ」コメントよりは、むしろ、
「学校での居場所をなくし閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐりぬけた先にあったのは、不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる」
という部分だけの方がよいのでは? この部分だけでも充分、読んでみたいという気持ちを引き起こせると思うし、少なくとも、自分の場合はそうでした。そして、「すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる」という部分、たしかにその通りです。

これまで、この感動的なラストを生むための、連載版からの大改作の努力などが正当に評価されてこなかった……。
「生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」という紹介では、何だか重苦しい雰囲気が連想されてしまいますが、それは、連載版にのみ当てはまることであって、大改作を経て生まれた十七年版は、エンターテインメントとして充分に評価されてよい傑作だと思います。特に、SFやファンタジーが好きな人なら、ほぼ誰でも楽しめるような作品だと思います(序盤は、やや重苦しいですが)。
ネタバレ回避の配慮をしながらの紹介では、たしかに、限界がありますね。

20220131SS00002

20220131SS00005

googleの検索画面より

〔『夢の中の第3村』電子出版のお知らせブログ記事〕
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52485925.html

〔ホームページ内の『夢の中の第3村』電子出版情報リンクのページ〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/villege3-l.htm


【22. 2. 5追記】
『かがみの孤城』の紹介のされ方が偏っていると書いたので、自分で紹介文を考えて、先日、2月3日のツイートに書きました。
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1489181774211330048

【22. 2. 3ツイートに書いた『かがみの孤城』の紹介】
学校に居場所を失くした少女の前で鏡が光る。通り抜けると謎の城。集められた七人に見つかる共通点。しかし、新たな謎が解けないまま事件は起こる…… 衝撃のラスト読了までネタバレ情報に注意!

【22.2.24追記】
『かがみの孤城』アニメ映画化が発表されました。22年冬公開ということです。
https://twitter.com/Kagami2017Tea/status/1496681293668564997

【22年11月12日追記】
22年1月に電子出版した『夢の中の第3村』の内容を再構成したものが、『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』の書名で、12月に彩流社から出版されることになりました。
小説『かがみの孤城』(辻村深月作)を読み終えた方で、その奇跡のようなラストの誕生の背景について興味持たれた方には、是非、お読みいただきたいと思います。

彩流社の情報ページ
https://www.sairyusha.co.jp/book/b10025211.html

情報記事
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52493986.html

(22年11月12日追記)

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