北村正裕BLOG

童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 北村正裕ホームページ(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

2024年01月

阿部加奈子指揮、藤原歌劇団「ファウスト」公演

東京文化会館で、1月27日、28日、2日連続で、ダブルキャストによる藤原歌劇団「ファウスト」の公演を見てきました(演出=ダヴィデ・ガラッティーニ・ライモンディ、指揮=阿部加奈子、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団)。
3つの動く仕切り板、ついたて、壁のようなディスプレイに様々な画像が映し出される仕組みで、他には大きな舞台装置はなく、簡素な演出。例えば、第3幕では、画像を映し出すついたてのような壁以外には、公園か駅のホームの水飲み場のような「聖水」と、花と宝石を置くための簡素なテーブルと小さな四角い椅子がある程度でした。
第1幕でメフィストフェレスがファウストにマルグリートの幻影を見せる場面では、マルグリートは登場せず、背景の壁に女性の顔(の一部)の画像が映し出されるという演出でした。このとき、ファウストは後ろを見ていないので、幻影は客席側に見えているというように考えるべきなのでしょう。
幻想のようなバレエが第1幕から登場、最初は、ファウストの机の下から妖怪のように登場し、合唱が聞こえてくる場面では、背景の壁の隙間から登場していました。
第3幕のファウストの「この清らかな住まい」の場面では、3つの壁のディスプレイに淡いグリーンと白の花が現れ、それが青に変化、そして、マルグリートの「宝石の歌」が始まると赤いバラに変わり、さらにチューリップなども現れるという具合に、場面ごとに、画像がどんどんと変化していました。
第4幕では、教会の場が街の場(兵士の合唱~決闘の場面)の後になっていました。この順番にすると、教会の場とその後のワルプルギスの場面のつながりがよくなる半面、その前のマルグリートの寝室の場の最後のマルグリートの「教会に行ってくる」という言葉と実際の教会の場面とが離れてしまうといった問題点もあり、この順番には、一長一短あると思います。
第5幕前半のワルプルギスの場面に挿入されたバレエ音楽は7曲中5曲。7曲あるバレエ音楽のうちの第5曲(トロイの踊りの曲)と第6曲(鏡の踊りの曲)は使用されませんでした(バレエ=NNIバレエアンサンブル、振付=伊藤範子)。
そのバレエ音楽の第2曲(アダージョ)では、マルグリートとファウストを表しているような男女2人の踊りが展開し、舞台左手前にマルグリートが現れてそれを見ているという演出。マルグリートは第4曲(クレオパトラの音楽)が始まると、一旦、退き、その第4曲では、第2曲でファウストとマルグリートを演じていた二人のダンサーが、今度は、剣を持って決闘。これは、ファウストとヴァランタンを表しているようで、今度は、舞台左手前にヴァランタンが現れてこの踊りを見るという演出、そして、舞台右手前では、ファウストとメフィストフェレス。第4曲の最後には、また、マルグリートが現れて、そのままバレエシーンの最後まで舞台に残り、ファウストが彼女の幻影を見る場面へつなげていました。
ラストの牢獄の場のラストでは、舞台右奥で合唱団員たちがマルグリートを囲んでの救済の合唱、ファウストとメフィストフェレスは左後方に引き下がっていました。
27日は、ファウスト役の村上敏明さんが不調でボロボロの状態でしたが、28日は、一転、ファウスト役の澤崎一了さん、マルグリート役の迫田美帆さん等が美声の競演で、素晴らしい舞台でした。
阿部加奈子さんの指揮は明解かつエネルギッシュ。例えば、第2幕のワルツが始まる部分などは、速めのテンポで軽快に演奏し、シーベルやマルグリートの登場場面ではテンポを落とし、ワルツ冒頭のメロディーの再登場とともに再びテンポアップという自然な緩急の変化を強調していました。そして、オーケストラに対してだけでなく、舞台上の歌手にも左手を高く上げて合図を送っていました。特に、歌手の歌い出しのタイミングでは、必ず、合図を出すという徹底ぶり。実に親切なオペラ指揮者だと思いました。プロンプターの役割までこなしているようでしたが、こうした指揮者の合図は歌手にはありがたかったかもしれません。振り方も大きく、さらに、全身でエネルギッシュに振り続けるので、演奏者にも歌手にもわかりやすいだろうと思います。実際、明解な音が鳴っていたと思います。こういう振り方は、よほどの体力がないとできないだろうと思います。そして、エネルギッシュと言っても、決して、大きい音量で押しまくるというわけではなく、例えば、第3幕後半のファウストとマルグリートの2重唱での「永遠に!」というハーモニーの部分など、実に繊細に微弱音を聴かせていました。
ラスト、牢獄の場の終盤では、メフィストフェレスがファウストを急がせる場面で速くなったテンポを、最後の最後で落として演奏しようという姿勢が見られ、27日の公演では、最後はかなりじっくりと聴かせるテンポになっていたのに対して、28日の公演では、27日の公演のときほどテンポが落ちなかったと思いますが、これは、28日の歌手陣が勢いづいていて、テンポを落とせなかったためではないかと感じました。というのは、指揮者がテンポを落とすはず、と思った瞬間、テンポの落ちない歌手の声と指揮者の指示通りにテンポを落とし始めたオーケストラの音が少しずれたように感じたのです。このまま指揮者が予定通りにさらにテンポを落とすと、歌手とのズレが修正できないかもしれないと感じた瞬間、指揮者がテンポを落とすのを止めて歌手の勢いに乗ることを選択したように感じました。これは、あくまでも、僕の印象ですが、前日の演奏が頭に残っていたので、そのように感じました。エネルギッシュであると同時に、指示が明解で冷静という印象なので、このようなとっさの判断もできそうな指揮者だというように聴いていて感じました。こんな完璧な仕事、いつでもできるというものでもないのではないかとも思ってしまうほど、見事な指揮ぶりだったと思います。今回、ほとんど指揮者の真後ろとも言えそうな座席が確保できたので、熱演を続ける指揮者ごしに歌手を見ていましたが、指揮者の後ろ姿を見ているだけで観客の自分が気合がはいってしまうほどだったので、演奏者と歌手は気合がはいって当然でしょう。すごい舞台を目撃してしまいました。

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〔1月28日、Xへの投稿〕
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1751583328472633375

〔ホームページのバレエ・オペラコーナー〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/swanlake.htm

〔日本オペラ振興会、24年藤原歌劇団「ファウスト」公式サイト〕
https://www.jof.or.jp/performance/2401-faust-tokyo


【2025年8月21日追記】
北村正裕ホームページ(音楽情報用と執筆情報用)の統合にともない、
バレエ・オペラコーナーのURLが変更になりました。
新しいURLは
http://masahirokitamura.art.coocan.jp/swanlake.htm
です。
(25. 8.21追記)

映画『かがみの孤城』に登場する『トロイメライ』のオルゴール(ミタカ・オルゴール館)

アニメ映画『かがみの孤城』(原恵一監督)では、原作小説(辻村深月作)には登場しない映画独自の要素のひとつであるアンティークオルゴールが登場し、エンドロール、映画パンフには「オルゴール楽曲協力」として「ミタカ・オルゴール館」の名前がありますが、そのミタカ・オルゴール館で、映画『かがみの孤城』に登場するアンティークオルゴールのモデルとなったディスクオルゴールで、映画と同じシューマン作曲「トロイメライ」の音を聴かせてもらいました。写真、動画撮影もOKということだったので撮影もさせていただきました(スマホで)。
映画に登場するアンティークオルゴールは、ハンドルが右側についていましたが、実際のモデルのオルゴールのハンドルは扉の内側にありました。しかし、そのオルゴールとは別に、右側にハンドルのついているディスクオルゴールが多数ありました。これらは、みな、ジュークボックスタイプで、コインを入れてハンドルを回すことで音が聴けるようになっていました。ディスクオルゴールは100年くらい前のものだそうで、映画『かがみの孤城』に登場するものはドイツ、ポリフォン社製です。
大きさは、映画に登場するものと同じくらいで、かなり大きく、深みのある音が聴けました。
同じオルゴールで、ディスクを入れ替えることで、色々な曲が聴けるようになっていて、ほかのオルゴールでも、「トロイメライ」が聴けるものもありましたが、そちらは、映画に出てきたものよりかなり早いテンポでかなりの装飾音がついているものでした。

オルゴールは原作小説(辻村深月作、ポプラ社刊)には登場しない映画だけの独自のアイデアですが、原作小説もおすすめです。さらに興味お持ちの方には、作品論『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』(北村正裕著、彩流社刊)もおすすめします。

ミタカ・オルゴール館の入館は予約制なので、詳細は同館のホームページをご覧ください。そして、映画『かがみの孤城』に登場した「トロイメライ」は、いつも聴けるとは限らないと思うので、その点、ご注意ください。1時間ごとの入れ替え制なのですが、今回、僕が入館した時間帯は、たまたま、入館者が自分一人だったので、解説員さんに「今日、映画に出てきた『トロイメライ』の音、聴けますか?」と尋ねたところ、わざわざ、ディスクを入れ替えてくれて聴かせてもらえたのですが、他の来館者がいるときにはこういうわけにもいかないでしょうから、お目当ての曲の音が聴けるかどうかは運次第ということになるかもしれません。

映画『かがみの孤城』、まだご覧になっていない方は、配信やブルーレイディスクを利用して、是非、ご覧になってください。オルゴールは原作小説(辻村深月作、ポプラ社刊)には登場しない映画だけの独自のアイデアですが、原作小説もおすすめです。さらに興味お持ちの方には、作品論『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』(北村正裕著、彩流社刊)もおすすめします。



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映画『かがみの孤城』に登場するトロイメライのオルゴール(ミタカ・オルゴール館)(Youtube)
https://youtu.be/kiIaMr25ACM
https://youtu.be/kiIaMr25ACM

ミタカ・オルゴール館のホームページ
https://mitakaorgel.jp/

北村正裕ホームページの中の「『かがみの孤城』リンク」のページ
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/kagaminokojo-l.htm

『かがみの孤城』3つのおすすめポイント&あらすじ紹介(note)
https://note.com/kitamuramasahiro/n/n46a74d59412b

『かがみの孤城』、リオンの記憶と二つの「奇跡」(note)
https://note.com/kitamuramasahiro/n/nd6367b405984

『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』出版情報(彩流社)
https://www.sairyusha.co.jp/book/b10025211.html

フリースクールの先生が活躍する画期的な映画『かがみの孤城』、日テレで放送!(ブログ記事)
http://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52510730.html

北村正裕ウェブサイト紹介ページ
https://masahirokitamura33.wixsite.com/masahirokitamura

北村正裕X(旧ツイッター)
https://twitter.com/masahirokitamra

【追記】
X(旧ツイッター)に投稿。
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1749404785000988949

【2024. 2. 3追記】
Xに写真投稿しました。
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1753559446285164878
(24. 2. 3追記)

【25.8.20追記】
北村正裕ホームページ(音楽情報用と執筆情報用)の統合にともない、「『かがみの孤城』情報リンク」のページのURLが変更になりました。
新しいURLは
http://masahirokitamura.art.coocan.jp/kagaminokojo-l.htm
です。
(25. 8.20追記)

フリースクールの先生が活躍する画期的小説の映画化作品『かがみの孤城』、日テレで放送!

学校に居場所を失くした少女の前で鏡が光る。
通り抜けると謎の城。
集められた七人に見つかる共通点。
しかし、新たな謎が解けないまま事件は起こる……
【かがみの孤城、短く一言だけの簡潔版あらすじ】

2024年2月9日(金)、午後9時から、日テレ、金曜ロードショーで、映画『かがみの孤城』が放送されます。
昨日(1/12)、金曜ロードショーの公式サイトにお知らせが掲載されました。
https://kinro.ntv.co.jp/article/detail/2024011202
この映画をまだ見ていないという人は、この放送をお見逃しなく!
すべての人におすすめです!

僕は、昨年1月には、この映画の原作小説(辻村深月作)について論じる『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』(北村正裕著、彩流社刊)を出版するなど、これまでも、『かがみの孤城』の原作小説と映画の応援をしてきましたが、小説『かがみの孤城』は、フリースクールの先生が活躍する画期的なベストセラー小説であることが、応援する大きな理由のひとつになっています。

かつて東京シューレを設立した奥地圭子さんは、小学校の教員時代には学校に登校しない子どもに登校させようと働きかけていたけれど、自分の子どもの「登校拒否」(当時の言葉)がきっかけでそれが間違っていたことに気づいたとのことで、それが小学校退職とフリースクール設立の動機になったと話されていて、僕が感銘を受けたのは、まさにその点でした。当時のことは、昨年出版した『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』の第二章にも少し書きましたが、当時、僕自身、中学校の教師を辞めて、小さな塾を始めてまもないころでした。
日本のフリースクールの出発点となった1985年の東京シューレ発足のさい、塾教師の仕事を始めたばかりの時期だった僕はすぐに見学させていただき、創設者の奥地圭子さんに頼まれて「東京シューレ通信」第一号に「見学記」を書かせていただきましたが、あの頃、今日のようにフリースクールが認知される日のことなど想像しにくかったし、ましてや、フリースクールの先生が活躍するベストセラー小説の登場や、その映画化など、とても想像することなどできませんでした。そうした感懐が、この小説、この映画を応援したくなる要因の一つになっていると思います。
小説『かがみの孤城』では、序盤で、かなりのページ数を費やして、主人公が、不登校を悪いことだとみるような「常識」に苦しめられている様子が描かれていて、このあたりは映画では大幅にカットされてしまっていますが、フリースクールの先生の活躍ぶりは、映画でもかなりよく描かれています。

原作小説については、

「『かがみの孤城』、3つのおすすめポイント&あらすじ紹介」という記事
https://note.com/kitamuramasahiro/n/n46a74d59412b

をnoteに掲載しているので、ご参照いただきたいと思いますが、そこには、小説『かがみの孤城』のおすすめポイントとして、
①フリースクールの先生が活躍
②作者でさえ気づけなかった衝撃のラスト
③アニメの遺産を継承
の3点をあげていあます。
「奇跡のラスト」と呼ぶにふさわしい原作小説の衝撃のラストは、映画(原恵一監督によるアニメ映画)ではラストではなく、少し前におかれているなど、色々と違いはありますが、原作小説と映画との違いについては、

映画『かがみの孤城』、原作と比べると
https://note.com/kitamuramasahiro/n/ndbef5c351620

『かがみの孤城』、リオンの記憶と二つの「奇跡」
https://note.com/kitamuramasahiro/n/nd6367b405984

をご参照ください(いずれもnote記事)。


〔HP内の「かがみの孤城」情報リンクのページ〕
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/kagaminokojo-l.htm

〔『「かがみの孤城」奇跡のラストの誕生』出版情報(彩流社)〕
https://www.sairyusha.co.jp/book/b10025211.html

〔北村正裕ホームページ紹介サイト〕
https://masahirokitamura33.wixsite.com/masahirokitamura

〔北村正裕X(旧ツイッター)〕
https://twitter.com/masahirokitamra

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【24. 1.29追記】YouTube日テレ公式チャンネルで、2月9日の映画『かがみの孤城』の放送予告動画が公開されています。
https://youtu.be/8HLpRbZW5TE
https://youtu.be/8HLpRbZW5TE
(24. 1.29追記)

【2024. 2. 3追記】
Xに情報投稿しています。
https://twitter.com/masahirokitamra/status/1752298731704291667
(24. 2. 3追記)

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【2024. 2.16追記】
ビデオリサーチの「高視聴率番組10」の情報
https://www.videor.co.jp/tvrating/2024/02/84087.html
によると、2月9日の金曜ロードショー、映画『かがみの孤城』の視聴率、6.6%。

その前週、2月1日の『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は6.0%ということです。
https://www.videor.co.jp/tvrating/2024/02/83972.html

(24. 2.16追記)

【2024. 3.15追記】
映画『かがみの孤城』、amazonプライムビデオでの見放題配信、本日(2024年3月15日)スタートです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BZK5CJ3Z/
(24. 3.15追記)

【25.8.20追記】
北村正裕ホームページ(音楽情報用と執筆情報用)の統合にともない、「『かがみの孤城』情報リンク」のページのURLが変更になりました。
新しいURLは
http://masahirokitamura.art.coocan.jp/kagaminokojo-l.htm
です。
(25. 8.20追記)

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