北村正裕BLOG

童話作家&シンガーソングライター、北村正裕のブログです。 北村正裕ホームページ(北村正裕アート空間) http://masahirokitamura.art.coocan.jp/ もよろしく。 X(旧ツイッター)アカウントは「@masahirokitamra」です。

2025年07月

死んだ赤い清太の幽霊視点、映画『火垂るの墓』8月15日放送、7月には配信も

戦争孤児の兄妹、清太と節子の二人が栄養失調で亡くなるまでを淡々と描く野坂昭如作の小説『火垂るの墓』を、死んだ清太の亡霊の回想として描く高畑勲監督によるアニメ映画『火垂るの墓』。2018年4月に高畑勲監督の追悼番組のように日テレ(地上波)、金曜ロードショーで放送され、このブログにも記事掲載しましたが、戦後80年の今年の終戦の日、8月15日(金)の金曜ロードショーで、ひさしぶりに、映画『火垂るの墓』が放送されるようです。5月に早々と発表されましたが、戦後80年の今年の終戦の日が金曜となると、放送する映画は、たしかにこれしかないだろうと、納得の選択です。
7月15日にはnetflixでの配信も始まるようです。
8月2日(土)には、NHK-EテレでETV特集「”火垂るの墓”に込めたメッセージ~高畑勲が残した7冊のノート」の放送も予告されています(23:00~23:59)。

原作にはない清太の亡霊(幽霊)は赤い色で表現され、ラストでは、死んだ妹の節子とともに丘の上から現代の都会の夜景を眺めているようなシーンが印象的です。戦争の犠牲になった彼らは、現代の日本をどう見ているのでしょう?
「栄養失調による衰弱死」という二人の死因は、小説の序盤ですでに示されていましたが、年齢については、原作では、節夫が「四歳」、清太については、「中学三年」と書かれています。原作の描写は、高畑勲によるアニメ映画の色彩豊かな表現とは違って、淡々としたものと感じられますが、それでも、そこに記されているセリフなどは、簡素であるがゆえにインパクトが感じられます。二人の家が焼け、母の死の原因にもなった空襲は、「六月五日神戸」の空襲と書かれ、節子の死は「八月二十二日」、清太の死は「九月二十二日」と、記述はリアルです。
戦災孤児となり西宮の親戚のおばさんのところに身をよせていた清太と節子が、その西宮のおばさんの家には「これ以上長くはいられないだろう」と悟り、「ぼくらよそへ移ります」とおばさんに告げたときのおばさんと清太との会話は、「よそて、どこ行くの」「まだはっきりしませんけど」「はあ、まあ気イつけてな、節ちゃんさいなら」と記され、二人は追い出されたのだということがはっきりしますが、記述は淡々としたものです。その会話の少し前には、おばさんの二人への「ほんまにえらい疫病神がまいこんで来たもんや、空襲いうたって役にも立たんし、そんなに命惜しいねんやったら、横穴で住んどったらええのに」という言葉もあり、清太は、ほんとうに、警報が鳴ったときに逃げ込んでいた「池の先にある深い横穴」で暮らすことになります。その少し前には、おばさんの娘には「こいさんお国のための勤労動員やもん、ようけ食べて力つけてもらわんと」と言って飯をよそい、「清太節子にはすいとつまみ葉ばかり汁」という記述もあります。「お国のため」の役に立っていなければ生きる権利もないという恐ろしさ。そして、「小母さんとこもういやや」と清太に訴えて泣くと、さらに「うるそうて寝られへん」と追い打ちをかけられています。そして、ただの洞穴(横穴防空壕)で暮らすことになって、清太は「ここへ住むかと思うと気が滅入った」という記述もありますが、「節子がはしゃぎまわり」という記述もあり、それが清太の心の支えになっていたことがわかります。
その後、「水汲みの姿を近所の人に見られたから、二人壕で暮すとたちまちわかったが、誰もあらわれず」といった記述もあり、また、闇市での食料調達について、「ルートつかまねば高嶺の花」という記述もあり、知識のない清太にとって食料調達が困難になっていく様子も短く記されていて、「二か月ほど前かて、お母ちゃん桃を砂糖で煮たり、カニ缶を開けたりしとったのに」という記述もあり、休息に悪化していく食料事情が書かれています。
洞穴での生活を始めたとき、夜空に特攻機と思われる光を見つけた清太は、かつて見た軍艦を思い出し、父も乗っているはずの軍艦の姿を思い浮かべますが、映画の軍艦の絵は、後にアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督として活躍する庵野秀明さんの担当。
二人は、蛍をつかまえて蚊帳の中にいれ、それで灯をとりますが、朝になると、蛍の半分は死んでしまい、節子はその死骸を壕の入口に埋め、清太が「何しとんねん」と訊ねると「蛍のお墓つくってんねん」と答えます。さらに、「お母ちゃんもお墓にはいってんやろ」と言い、清太が隠していたことをおばさんから聴いてしまったことが、ここで判明します。映画では、まだ二人がおばさんの家にいたころ、節子が激しく泣いていてそれを赤い清太の亡霊が見て驚いているシーンがあり、それが、節子が母の死を知ってしまった場面なのかもしれないと思えるのですが、清太が隠しているのにそれを教えてしまうおばさんへの怒りと、やはり、おばさんのところでは生きていけないのだという悟りと、そして、母の死を隠している清太への配慮から、しばらくは知ってしまったことを清太に隠していた節子への思いが、知っていたことが明かされたところで噴き出してきます。
終盤、死の直前の節子が、石を拾って「兄ちゃんどうぞ」と差し出し、ままごとのように「どうそ、お上がり、食べへんのん?」と言うシーン、節子の「兄ちゃん、おおきに」という言葉には、もはや、コメントのしようがありません。
最後、節子に続いて清太が死んだとき、「他にニ、三十はあった浮浪児の死体と共に、布引の上の寺で荼毘に付され、骨は無縁仏として納骨堂へおさめられた」という一文で小説は終わっています。

自分の場合、亡くなった母から、5月25日の山の手空襲の体験を何度も聴かされていて、表参道を走って明治神宮に逃げ込むまでの焼夷弾の雨と、翌朝の変わり果てた表参道の様子を何度も聞かされていたため、映画『火垂るの墓』の空襲シーンは、母から聴いた山の手空襲のようでリアリティを感じます。原作が描いているのは神戸の空襲であり、映画の高畑勲監督の場合には岡山での空襲体験がベースになっているのでしょうが、その恐ろしさは、東京も神戸も岡山も同じだったのだと思います。

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2018年4月のブログ記事
「火垂るの墓」赤茶色の服の清太、中盤の登場にも注目
https://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52432096.html

25年5月26日の金曜ロードショー公式X投稿
https://x.com/kinro_ntv/status/1926891579584778288

netflixでの25年7月15日配信開始のニュース
https://about.netflix.com/ja/news/grave-of-the-fireflies

25年7月6日NHK「ETV特集」公式Xの投稿
https://x.com/nhk_Etoku/status/1941788900059734338

北村正裕ホームページ紹介サイト
https://masahirokitamura33.wixsite.com/masahirokitamura

北村正裕X
https://x.com/masahirokitamra

【2025. 8. 8追記】
映画『火垂るの墓』の原作との大きな違いは、清太の幽霊を登場させている点だと思いますが、googleで検索してみると、日によって、「AIによる概要」として、「映画『火垂るの墓』には、清太が幽霊として登場するシーンはありません」だとか、「映画『火垂るの墓』では、清太は亡霊として描かれているわけではありません」などという大うそがページ最上部に!ネット上には偽情報が多いですが、AIのウソががさらに拍車をかけているという実態を見せつけられます。つい先日、Eテレ、ETV特集で放送された「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」でも、清太の幽霊を登場させたことを、高畑勲監督による映画『火垂るの墓』の大きなポイントとしてクローズアップしていましたが、AIにも見て欲しかったですね。AIによる「解説」はネット上の情報のうけうりのようなので、うそを増幅させる働きをしてしまうようですが、AIが知ったかぶりをしているとしか思えないような表示内容もよく見かけます。日によって表示内容が変わるほか、同じ日でも、検索語を少し変えるだけで表示内容が豹変したりもするようです。
(25. 8. 8追記)

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無料学習支援ボランティア募集(25年夏)

2年前にも無料学習支援会のボランティア募集の記事掲載しましたが、自分もボランティアとして参加している東京都豊島区で活動している地域の小中学生を対象とした無料学習支援会、クローバーのボランティア募集のチラシを、今年も、池袋周辺の大学などに配布中で、掲示など、依頼しています。大学生と社会人のボランティアを募集しています。

自分の場合は2017年にこの団体のことを知り、同年12月からの参加ですが、団体(子どもサポーターズとしま)自体は2010年7月から活動をしている団体で、今では全国に広がっている無料学習支援会の草分け的な存在ということになりそうです。経済事情などで塾に通うのが難しい子どもたちの学習支援ということでスタートした活動ですが、勉強だけでなく、子どもたちの居場所としての意義もあり、参加する大人にとってもよい勉強になります。自分の場合、長い間、予備校で講師として大学受験生に数学を教える仕事をしていて、それは、今も続けていますが、学習支援ボランティア団体では、予備校などでは味わえない活動が出来ます。
学生ボランティアの場合、卒業、就職で、ボランティア活動への参加が一度終了となる場合が多いですが、日曜のイベントなどに応援参加してくれる人もいます。学生ボランティアとして活動していた人たちの卒業後の進路は様々のようですが、卒業後、教師や保育士として活躍されている人もいます。特別、教育関係の仕事に就くのでなくても、ボランティア活動の経験は貴重な財産になるのではないかと思います。もちろん、社会人ボランティアにとっても、ボランティア活動はよい経験、よい勉強になると思います。

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23年7月21日の記事(無料学習支援ボランティア募集)
https://masahirokitamura.dreamlog.jp/archives/52499848.html

学習支援クローバーHP
https://clovertoshima.wixsite.com/toshimaku-clover

北村正裕HP内の教育・子ども学習支援情報リンクのページ
http://masahirokitamura.my.coocan.jp/edu-l.htm

北村正裕ホームページ紹介サイト
https://masahirokitamura33.wixsite.com/masahirokitamura

北村正裕X
https://x.com/masahirokitamra

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